「開放型の刑務所を作りたい」──数々の受賞経験を持つ建築家・山崎健太郎氏が、10日に放送されたMBS・TBS系ドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎週日曜23:00~)に登場。SNSでは、「今必要な建築には、使う人の未来がつまっているとわかった」「考えさせられた」などの声が上がっている。

  • 『情熱大陸』

    『情熱大陸』

千葉県にあるデイサービスセンター「52間の縁側」。名前の通り、橋のように長い縁側を持つ木造の建物は、一見して福祉施設には見えない。介護の必要な高齢者が過ごす場所に、近所の子どもたちが自然と遊びに来る。縁側でくつろぐ人、赤ちゃんを抱いたママの姿も。デイサービスでありながら、様々な人が不思議と集うこの建築が今、注目を浴びている。

これを設計したのが山崎氏だ。この建築で日本建築学会賞、JIA日本建築大賞、グッドデザイン大賞を相次いで受賞した。

ホスピスや視覚障がい者支援施設、保育園など福祉施設の設計を多く手がけてきた山崎氏。そのどれもが、「当たり前」を問い直すようなものばかりだ。つくるべきなのは「施設ではなく住まい」だと山崎氏は言う。

工事を終えたばかりの沖縄の就労支援施設は、事務室、作業室、生活訓練室と、用途ごとに部屋を分けず、ゆるやかにつながる空間に。一人でいたい人は一人のまま、それでも誰かと同じ場所にいられるように、建物の中には多様な居場所が散りばめられている。

彼の元には、都内最大級の日本庭園のある結婚式場の改修、里山の風景と融合するワイナリーやホテルの設計など、福祉施設にとどまらない依頼も寄せられていた。事務所には様々な案件の模型がずらりと並んでいる。

しかし山崎氏の仕事は図面をひくことだけではない。現場に通い、利用者と話し、職人と汗をかく。ときには軍手をはめ、自ら土を掘る。石を積む。その姿は、図面や模型では確かめられない何かを探す、真に建築家らしい姿だ。

そんな山崎氏にやってきた、これまでにない仕事。新しく検討されている開放型の刑務所だ。そのヒントを探しに、先進的とされるノルウェーを視察に訪れた。2025年6月の刑法改正により拘禁刑が導入され、「懲らしめから更生へ」と変革を迎える日本の矯正のあり方。その中で、山崎氏は思案を巡らせていた。

これにX(Twitter)では、「山崎さんの建築の優しさが素敵」「建築や仕事に対して哲学を感じる」「陳腐な言葉だけれど、見た目も内面も仕事も格好いい」「自分も将来こんな仕事ができたらいいな」などのコメントが多く見られた。

また、「すごく使う人のことを考えている。今だけじゃない、その先も」「建築から、現代における希望や未来が感じられた」「デザイン優先じゃなく、そこを使う人の未来が建築に載せられている」といった声もあり、多くの人が、建築という身近なものから、改めて人の人生について考えさせられたようだ。

この放送は、TVerで見逃し配信されている。

【編集部MEMO】
次回5月17日の放送では、世界最大、アメリカのプロレス団体・WWEで女子世界王座にまで上り詰めたイヨ・スカイに密着する。