NHK連続テレビ小説『あんぱん』が第34回橋田賞を受賞し、脚本の中園ミホ氏と、同作でヒロイン・のぶを演じた今田美桜が10日、都内ホテルで行われた授賞式に登壇した。中園氏は、のぶのモデルとなった小松暢さんについて「橋田壽賀子先生の分身です」と語り、資料がほとんど残っていなかった中、橋田さんの随筆を読み込んで脚本に反映したことを告白。その言葉を受けた今田は「驚きとすごく背筋が伸びる思いです」と受け止めた。

  • (左から)今田美桜、中園ミホ氏

    (左から)今田美桜、中園ミホ氏

『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんとその妻・小松暢さんをモデルに、激動の時代を共に生きた2人の物語を描いた作品。橋田賞では、「自らの戦争の体験から“逆転しない正義”とは何かを問い続け、『アンパンマン』を生み出すまでの夫婦愛と周りの人々とのつながりを温かく描いて、視聴者から高い支持を得た」と評価された。

脚本を担当した中園氏は、今田が演じたヒロイン・のぶのモデルとなった小松暢さんについて、「橋田壽賀子先生の分身です」と紹介。やなせさんの妻に関する資料がほとんど残っていなかったことから、脚本を書き始める前に橋田さんの随筆を「読みまくりました」という。

その随筆から、「普通の聡明な女の子が軍国少女になっていく恐ろしさ」「正義が逆転する虚しさ」、そして橋田さんの「強い強い反戦の思い」を受け取ったという中園氏。現在の時代状況にも重ねながら、「今、平和に向かう道が険しくなっている時に、この賞を頂けて身が引き締まる思いです」と語った。

個人として橋田賞を受賞した今田は、「橋田先生の分身」という役柄の紹介を受け、「驚きとすごく背筋が伸びる思いです」とコメント。放送と撮影が終わってから半年以上が経った今も、さまざまな場所で『あんぱん』について声をかけられるといい、「そのお話を聞くたびに、たくさんの方に愛していただいていたんだな、愛されていた作品なんだなと本当に実感しております」と反響の大きさをかみしめた。

また、撮影を振り返り、「私が演じたのぶさんと一緒に感情を行き来しながら過ごした1年間は、本当に私の人生の中でかけがえのない財産となりました」としみじみ。『あんぱん』を通して感じた「生きる上での喜びとか悲しみとか、うれしさとか、そういうものに丁寧に付き合いたい」と思うようになったといい、「これからも優しさとか思いやりを忘れない人間でいたいなと思います」と、感謝の言葉でスピーチを締めくくった。

「第34回橋田賞」受賞作品・受賞者

■橋田賞
・連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)
・『わが家は楽し』(TBS)
・『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)
・『八月の声を運ぶ男』(NHK)
・小日向文世(俳優)
・佐藤浩市(俳優)
・小芝風花(俳優)
・今田美桜(俳優)
・竹内涼真(俳優)

■野村昭子賞
・岩崎加根子(俳優)

■橋田賞新人脚本賞
<一時間ドラマ部門・佳作>
・『コクーン』高橋由佳
・『愛或るほうへ』佐野あすか

<短編部門・入選作>
・『へりとわらし』朝比奈千鶴