南海電気鉄道は、新観光列車「GRAN 天空」の安全運行祈願式典と乗車会、内観撮影会を4月9日に実施した。走行試験を行う「GRAN 天空」に関係者らが乗車し、難波駅を発車して極楽橋駅へ。車両内観も初めて公開された。4月24日の運行開始を予定している。
今年3月まで橋本~極楽橋間で運行された「天空」に代わる新観光列車「GRAN 天空」は、運行区間を難波~極楽橋間に拡大。始発駅となる難波駅のホーム(1番線の降車専用ホーム)を美装化し、「GRAN 天空」専用「0番のりば」とした。
走行試験を実施した4月9日、「GRAN 天空」は12時13分に難波駅0番のりばへ入線。出発前に安全運行祈願式典を行い、コシノジュンコ氏がデザインしたアテンダントスタッフの新制服もお披露目された。関係者らを乗せた「GRAN 天空」は12時45分に難波駅0番のりばを発車。この日は下り・上りともに営業運転とほぼ同時刻(下りは難波駅12時45分発・極楽橋駅14時20分着の「GRAN 天空3号」、上りは極楽橋駅14時58分発・難波駅16時30分頃着の「GRAN 天空4号」)で難波~極楽橋間を往復した。
往路では1・2号車の内観を報道関係者向けに公開。号車ごとに異なるタイプの座席を用意し、1・2号車は多様なニーズに応えるデザインとしている。1号車の「リラックスシート」(24席)は快適に過ごせるリクライニング座席で、横3列(2列+1列)の配置に。座席シートにシャクナゲなど沿線の植物をデザインし、天井に施したイラストは沿線の工芸品や歴史を表現しているという。全座席に電源コンセントを設け、客室内に車いすスペース、乗降口付近にバリアフリートイレも設置した。2号車の「ワイドビューシート」(30席)は窓向きの座席を設けるなど、車窓風景を楽しめるよう工夫している。電源コンセントは各テーブルに設置した。
途中の九度山駅で6分間停車(13時42分着・13時48分発)し、紀州九度山手作甲冑真田隊や地元小学生らが出迎えたほか、紀州九度山真田太鼓保存会による太鼓演奏も行われた。ここから先は50パーミルの急勾配と半径100mの急カーブが続く区間。「GRAN 天空」のベースとなった2000系は山岳区間の走行にも対応した車両で、急勾配と急カーブが続く中でも軋み音を響かせながら力強く駆け上り、山々と渓谷の続く車窓風景も楽しむことができた。14時20分、「GRAN 天空」はほぼ定刻に終点の極楽橋駅へ到着した。
今回、「GRAN 天空」の制服をデザインしたコシノジュンコ氏も往路の列車に乗車。極楽橋駅到着後に行われたお迎え式で、「GRAN 天空」について「高野山という伝統ある場所に、こうしたモダンな電車が行くというところが面白い。高野山は有名だけどクラシックな印象もあり、この新しい電車が未来を明るくすると思います」と語った。車内で提供される食事にも満足した様子で、「料亭が走っているかのよう」と表現する場面も。鉄道車両のデザインに挑戦してみたいか聞かれ、「これからやります。乞うご期待」と笑みを浮かべた。お迎え式の後、コシノ氏らはケーブルカーに乗車し、高野山へ向かった。
「GRAN 天空」は14時58分に極楽橋駅を発車。復路では3・4号車の内観も報道関係者向けに公開された。1・2号車と異なり、3・4号車はアーバンハイクラスホテルのロビーラウンジのような重厚感と落ち着きのあるデザインをめざしたとのこと。3号車はロビーラウンジで、車両中央に設けたサービスカウンターで軽食や土産品など購入できる。4号車は「グランシート」「グランシートプラス」(16席)で、最大4人掛けのソファ席(乗務員室側の1カ所は「グランシートプラス」、他3カ所は「グランシート」)を用意。「グランシートプラス」はこだわりのテーブルやソファを配置し、より特別感のある空間でゆったりと食事を楽しめるという。
復路もほぼ定刻に運行され、16時30分頃に終点の難波駅へ到着した。「GRAN 天空」はこれまでの「天空」と比べて、運行区間を難波駅まで延長したことにより、都市部から高野山へのアクセスを1本の列車で完結できるようにした点も大きな特徴といえる。これまで橋本駅で乗換えが必要だった観光列車を直通としたことで、観光客の利便性が向上しただけでなく、乗車中の時間そのものを「旅の体験」として提供する意味合いも強まったといえる。
車内の座席やサービスを号車ごとに変え、価格帯にも幅を持たせており、こうした点から従来の観光列車より幅広い利用層を意識した設計であることがうかがえる。気軽に利用できる座席と、食事を楽しみながらゆったり過ごせる空間を同一列車内に用意することで、高野山への移動手段としてだけでなく、「目的地の一部」という役割も担う列車になるかもしれない。















