第10回「信長上洛」では、1567(永禄10)年から1568(永禄11)年の様子が描かれた。最も注目されたシーン以外の見どころを紹介していく。
まずは、正体を隠して近づいてきた義昭(尾上右近)の正体を見破った信長のシーンが挙げられる。義昭はこれまでも家臣である明智光秀(要潤)を前面に立て、各地の大名に直に会い見定めてきたようだ。今回も今までのように光秀の従者に扮していたが、竹中半兵衛(菅田将暉)の目はごまかせず、信長に正体を明かされることになった。
SNSでは「抵抗なく従者を演じる義昭も只者じゃないな。単なる暗愚なやられ役にはならなさそうで楽しみだ」「秀吉が誰彼関係なく明るく接するから足利義昭の正体を半兵衛が確信するに至ったのいいよね」と、義昭をめぐるエピソードに視聴者の投稿が集まっている。
義昭は室町幕府・最後の将軍である第十五代将軍で、三好三人衆や松永久秀(竹中直人)に謀殺された実兄・足利義輝は第十三代将軍。第十四代将軍は足利義栄という。父は第十一代将軍である足利義澄の子である足利義維で、将軍家の分流である阿波公方家の出身。将軍擁立を進めたのは三好長慶の死後に権力を握っていた三好三人衆と松永久秀だった。義栄は京都に入ることができず、摂津・富田の普門寺で将軍宣下を受けた。
しかし織田信長が上洛して足利義昭を擁立したため、1568(永禄11)年の2~9月という短期間で将軍の地位を失った。京都に入れないまま将軍になった点や将軍宣下を京都ではなく摂津で受けた点で異例な将軍だ。
六角家、織田信長に蹴散らされる
次に、上洛する信長の前に立ちふさがりながらも、合戦の様子を描かれることなくナレーションであっさり処理されてしまった六角家が挙げられる。あまりにも一瞬で処理されてしまった六角家にSNSでは「ゲームみたいな雑な潰され方で笑ってしまった」「六角氏、まさかのナレ死確認」とあわれむ投稿が集まりました。ご先祖である婆娑羅大名・佐々木道誉も、この扱いを知れば激怒しそうだ。
六角家は宇多源氏佐々木家の嫡流で、鎌倉時代から戦国時代にかけて近江国南部を支配した守護大名の名門。京都六角東洞院に屋敷を構えたことから六角家と呼ばれるようになった。ちなみに佐々木家の庶流には京極家などがある。戦国時代になると守護大名から戦国大名へと変化し、独自の領国支配を行うようになる。
本拠地は観音寺城。この城は標高432メートルの山城で、近江最大級の要塞だった。上洛を進める信長と近江守護である六角義賢・義治父子との間で起きたのが観音寺城の戦い。しかし六角軍は戦闘らしい戦闘を行わないまま撤退し、信長が城を占領した。この結果、六角家は近江の支配を失い戦国大名として事実上滅亡した。信長軍は岐阜から近江を一気に突破した。この時の進軍は非常に速く、六角側は十分な防衛体制を整えることができなかったといわれている。
六角義賢は六角家第十五代当主。後に出家して承禎と号し豊臣秀吉の御伽衆となる。関ヶ原の戦いの2年前に秀吉に先立って78歳の生涯を終えた。家臣団の離反を招いたなど否定的な評価が多くあったが、近年は戦国大名として一定の統治能力を備え、近江の自治制度を整えたなどの点が再評価されている。
有力大名、続々登場
最後に即位した第十五代将軍・足利義昭に拝謁するよう、信長が各地の大名に文を出したシーンが挙げられる。自分の敵をあぶりだすという目的で送られたものだったが、多くの大名が投げ捨てたり焼き捨てたりと、今後の波乱を予感させる演出がなされていた。SNSでは「少年マンガの強敵のチラ見せシーンみたいでワクワクするな」「錚々たるメンツだね。役者さんもすごいわ」と今後の展開に胸を躍らせる視聴者のコメントが集まった。
1996年の大河ドラマ『秀吉』では、今作で松永久秀を演じる竹中直人が豊臣秀吉を、武田信玄を演じる高嶋政伸が豊臣秀長をそれぞれ演じていた。また、武田信玄の宿命のライバル・上杉輝虎(工藤潤矢)は2009年『天地人』で阿部寛が演じて以来、17年ぶりの登場になる。
きょう22日に放送される第11話「本圀寺の変」では、小一郎と藤吉郎(池松壮亮)が織田信長から新たな命令を受け、堺へ向かう。また、小谷城では距離を縮めていく市と浅井長政の姿が。一方、第十五代将軍・足利義昭のいる本圀寺に三好三人衆が襲いかかる。


