普段から、情報・ドキュメンタリーを含めて、積極的に企画書を出しているという浅野D。その背景には、大学時代の準硬式野球部での経験がある。

「高校野球で甲子園に出た部員もいる中、僕は県立で強豪校出身ではなかったので、“この環境で自分の活路をどう見い出すか”を考えながらやっていました。その感覚は、会社に入ってからもつながっていると思います。普段のレギュラー番組の仕事をこなしているだけでは、同世代から抜けられない。だからこそ、バラエティの企画を出して演出をやることで、自分なりに道を作っていこうというマインドがあります」

『櫻井翔のワンナイトスタディ』以外にも、『トークィーンズ』といったトーク主体のバラエティの収録現場を見学。「普段は生放送の情報番組を担当しているので、収録のバラエティ番組で演出の人がどう動くか、演者さんと向き合う上で何をされているのか、時間を作って見に行くようにしています」といい、「やはり現場で盛り上がっているところの熱量が、そのままOAに直結するのだと思いました」と、雰囲気を体感した。

情報番組のセクションでは1年ほどでADからディレクターに昇格できるため、入社3年目ながら様々な経験を積んできたが、「バラエティ番組の会議を演出として仕切るにあたって、カルチャーの違いはやはり大変でした」と慣れない場面が。

それでも、「情報番組にいるからこその強みもあると思っています。バラエティには、制作者が“自分たちが面白いと思うもの”を届ける側面もありますが、情報番組は生活に近い部分を扱っているので、“視聴者が何を見たいか”によりコミットする性質がある。そこで培ったネタ選びや構成、編集の感覚は、きっと自分の強みになるはずだと感じています」と力強く語る。

フジテレビは今年7月の組織改編で、バラエティと情報番組の制作セクションを融合させ、清水賢治社長は「異なるジャンルの方がいることで多様性が生まれれば、企画の発想も広がってくると思います」と期待を述べていた。今回の番組は、企画・演出に情報出身の浅野D、ディレクターにバラエティ出身の3人が入り、『ワイドナショー』『サン!シャイン』など両ジャンルの番組を経験した宮川直樹氏がチーフプロデューサーに立っており、コラボの効果を実証する機会にもなりそうだ。

“あれ観た?”と共有したくなる番組を

『一覧ファクトリー』の企画が通ってから、「別の番組の会議で誰かが“一覧”という言葉を口にするだけで、ピクッと反応してしまいます。街を歩いていても、“これ、一覧にしたら面白そうだな”というものが目に入ってくるんです(笑)」と、頭の中が占拠されつつある浅野D。

だが、その状況に置かれることで、「ネタが無限にあって、深夜向きのマニアックな一覧もできるし、ゴールデン仕様の一覧もできるという、この企画の一番の強みを感じることができました」といい、「今回の放送でいい形で次につなげて、ゆくゆくはレギュラー化を目指したいです」と意気込む。

その上で、「個人としては、若いうちにゴールデンで総合演出を任される人材になり、情報番組を経験した自分だからこそ作れる、“今のフジテレビにない番組”が作れる社員ディレクターになりたいと思っています。観た人が次の日に“あれ観た?”と誰かと共有したくなるような番組を作りたいです」と抱負を語ってくれた。

  • 浅野崇太郎ディレクター

    浅野崇太郎ディレクター

●浅野崇太郎
2000年生まれ、茨城県出身。早稲田大学卒業後、23年にフジテレビジョン入社。情報制作局(当時)に配属され、『めざまし8』『サン!シャイン』など朝の情報番組やドキュメンタリー、情報バラエティの制作を担当。『櫻井翔の一覧ファクトリー ~“アレ”全部並べてみた!~』でバラエティ番組初企画・演出となる。