2番目に注目されたのは20時29~30分で、注目度80.5%。松平定信(井上祐貴)のもとへ長谷川平蔵宣以(中村隼人)から火急の知らせが届くシーンだ。

「あの者の扱いに周囲が困っておる?」定信は屋敷で水野為長(園田祥太)から一橋治済(生田斗真)の近況について報告を受けていた。「老中たちはようやくあの者の気味の悪さに気が付いたようで」治済は邪魔者である自分たちが消えたことで、ますます勝手気ままに振る舞っているようだ。「今更遅いわ」定信は小さく鼻を鳴らした。

「上様は相変わらず喜んでお励みか?」続いて第十一代将軍・徳川家斉(城桧吏)について尋ねる。為長によると少しずつ2人の間に溝ができ始めているようだ。「よろしうございますな」柴野栗山(嶋田久作)がどこかほくそ笑むような口調でつぶやいた。定信がさらに問いただすと「今、大奥で上様のお子が思うように育たぬのは亡き家基様(奥智哉)の祟りではないかとの噂が立っておるようにございまして」と為長が返す。「ご無礼仕る!」小姓が慌ただしく部屋の中に駆け込むと、「長谷川様より火急の知らせにて」と懐から書状を取り出し定信へ渡した。「大崎が!」定信は書状の中身に目を走らせると、その顔色がみるみるうちに変わっていくのだった。

定信の「今更遅いわ」に反応

このシーンは、定信が治済への復讐を果たすため、着々と準備を進める様子に、視聴者の関心が集まったと考えられる。

定信は為長を通じて幕府の情報を集めていた。幕府での治済の専横ぶりは目に余るものがあるが、もはや口を挟む者は誰もいなかった。老中である本多忠籌(矢島健一)と松平信明(福山翔大)も懸念を抱いていますがどうにもならない。実子である将軍・家斉ですら、父である治済に不信感を募らせている。平蔵からの書状は、鍵を握る大崎(映美くらら)に関する情報のようだが、一体何が記されていたのだろうか。

SNSでは「定信くんの『今更遅いわ』がめっちゃ気持ちこもっていたな」「治済さまの本性を見破っていた定信はやっぱり優秀だね。だから追い出されたんだろうけどさ」「定信側に有利な展開になってるっぽいけど、相手は治済だからまだまだ油断できんな」と、定信の言動が話題となった。

作中では家斉の子供が育たないのは徳川家基の祟りではないかという噂が流れていた。史実では家斉は家基の命日には毎年欠かさず参拝していたようだ。どうしても自身で参拝できない時でも、若年寄などの家臣に代参させていた。それだけ家基の祟りを恐れていたといわれている。

ちなみに家斉は歴代で最長の50年間将軍に在位したが、徳川家康を祀る日光東照宮へ参拝する日光社参は1度も行っていない。家斉にとっては家康より家基の方が恐ろしかったのかもしれない。

今回、定信に幕府の内情を報告した水野為長は、定信の側近として生涯支え続けた腹心。定信が幼いころから近習として仕えた。定信が白河藩松平家の養子となった際にも随行し、その後も老中就任から隠居まで支えた。定信の老中在任中には江戸市中の情報を収集して報告し、その記録は『よしの冊子』として残されている。『よしの冊子』には火付盗賊改方・長谷川平蔵宣以の仕事ぶりや老中をはじめとする幕臣たちの評判、さらには江戸市中の噂、農村の状況、庶民の生活など様々な情報が記されていた。