十三代目市川團十郎白猿を襲名してから約3年。歌舞伎界を背負う存在となった市川團十郎が、父としての顔や、歌舞伎界を受け継ぐ覚悟を語った。
15日に放送されたTBS系トーク番組『A-Studio+』(毎週金曜23:00~)にゲスト出演し、長女・市川ぼたん、長男・市川新之助との親子関係をはじめ、亡き父から受け取った“最後の手紙”、さらに父亡き後も見守り続けてくれている人間国宝・中村梅玉との交流などを明かした。
番組冒頭、MCの笑福亭鶴瓶から「團十郎になられてから初めてですからね」と声を掛けられた團十郎は、襲名してから「変わりますよね」と率直に胸の内を告白。「自分のことよりも子どもたちのことを」と語り、現在13歳と14歳になった子どもたちへの思いを口にした。
ぼたんは「歌舞伎をやりたいけど女性である葛藤もある」といい、「7月の歌舞伎にも出ますよ」と紹介。1月の新橋演舞場での舞台が好評だったことも明かした。
團十郎は子どもへの接し方にも触れ、「私も子どもの頃は“何やってんだ!”って、バチンとしょっちゅうでした」と回顧。しかし現在は「今は絶対ない。もう丁寧に丁寧に」と時代の変化を語り、「ちょっと言うと何ハラ。コンプライアンスも大変じゃないですか」と苦笑いを浮かべた。
新之助に対しては、「今ちょうど変化の時期なんで、めちゃくちゃ会話するようにしてます」と告白。「私と違うタイプ。1人で考えたり、妄想して悩む時期なので」と息子の繊細な一面も明かした。
その一方で、「意外と葛藤があったりとか、見つけられないけど結構ボロボロ落っこっていて」と息子の変化も吐露。「今それに対応するのがめちゃくちゃ大変」と本音をのぞかせた。
また、ぼたんには「愛であふれているというか、優しさであふれてる」と目を細め、「3~4歳ぐらいから(手紙を)書いてくれてる」と紹介。「すごく大事な部分なので、なるべく大事なまま育ってたい」と父の顔を見せた。
番組では、人間国宝・中村梅玉への取材内容も紹介。父・十二代目市川團十郎と同級生だった梅玉に対し、團十郎は「ブレない品の良さ、貫目は歌舞伎界でも1、2を争うところなので、見習わないといけないです」と羨望の眼差し。さらに、「私も大変なんですね。私の父親のように、父親だと思ってるぐらい、良い距離感で接してくださる大先輩」と感謝を口にした。
鶴瓶から「本人にはあまり言ったことないけど、と言っていた」と明かされると、團十郎は「恥ずかしいんじゃないですかね」と照れ笑い。その上で、「愛があるんですよ。歌舞伎とうちの父に」としみじみ語った。
亡き父とのエピソードも明かした團十郎は、生前ほとんど褒られることがなかったといい、「絶対言わなかった」と回顧。
しかし、2013年の新春浅草歌舞伎『極付幡随長兵衛』を演じていた際、病室の父から初めて手紙が届いたという。そこには「よくやってるから、その感じで頑張れ」と書かれていたと明かし、「初めて褒められました」と静かに語った。
その手紙が届いた約2週間後、父は旅立ったという。鶴瓶が「どっかで伝えなあかんと思ったんやろな」と語ると、團十郎は「だと良いんですけどね」と静かに返していた。
【編集部MEMO】
市川團十郎は、1977年12月6日生まれ、東京都出身。83年に初お目見得、85年に七代目市川新之助を名乗って初舞台。04年に十一代目市川海老蔵を襲名し、豪快で華のある演技で人気を集めた。22年11月、十三代目市川團十郎白猿を襲名。古典歌舞伎のみならず、自主公演や映像作品、情報発信など幅広い活動を展開し、歌舞伎文化の発信にも力を入れている。
