第23話「我こそは江戸一利者なり」では1783(天明3)年の様子が描かれた。
須原屋市兵衛に背中を押されても日本橋への進出に二の足を踏んでいた蔦重。しかし、平賀源内(安田顕)との約束を果たすため、そして吉原者への差別をなくすために日本橋への出店を決意し、忘八たちを懸命に説き伏せた。また、誰袖は松前廣年にハニートラップを仕掛け、直接オロシャと取引するように仕向けた。
注目度トップ3以外の見どころとしては、大金が絡むとなると、突如先代が憑依した二代目・大文字屋市兵衛(伊藤淳史)が挙げられる。直情的な先代と違って穏やかで知的な雰囲気をまとっていた二代目だが、誰袖が松前藩の抜荷を探るのを止めさせようとした蔦重に激昂する。養子とはいえ蛙の子は蛙、利益を最優先する忘八らしい姿だった。
そして着々と廣年を篭絡しつつある誰袖(福原遥)も注目されている。直接オロシャから琥珀を買い付けるという提案を藩の家老である廣年は最初は強く拒む。しかし誰袖のウソ泣きにほだされ、あっという間に考えを翻した。様子をうかがっていた面々も驚いていた。
また、現役力士である東前頭筆頭・若元春(荒汐部屋)、東前頭十一枚目・遠藤(追手風部屋)、西前頭十六枚目・錦木(伊勢ノ海部屋)がサプライズゲストとして登場したが、普段から着物を着こなしている関取たちは違和感なく作中に溶け込んでいた。続いて佐野政言、政豊(吉見一豊)父子のシーンも意味ありげだった。政豊は一人息子である政言に期待を寄せているようだが、政言はいまだ意次にお目通りがかなわず、宗次郎と接触もできなかった。政言の運命の日は1年後に迫っている。
さらに、のちの蔦重の妻と公式サイトで紹介されているてい(橋本愛)が登場を果たした。ていは鶴屋の向かいにある丸屋の一人娘で、その丸屋を蔦重は日本橋進出の足がかりにと考えている。しかし、蔦重の往来物が丸屋の経営を傾けさせ、さらに元婿が扇屋に入れ揚げたこともあり、ていは蔦重と吉原に対して個人的な恨みを募らせている。しかも鶴屋喜右衛門(風間俊介)がコンサルとしてついている。蔦重がこの絶望的な状況をどのように打破するのか要注目だ。
きょう22日に放送される第24話「げにつれなきは日本橋」では、日本橋へ進出しようとする蔦重と女郎屋の主たちが鶴屋喜右衛門と衝突する。また、誰袖は抜荷の証拠をつかめず、田沼意知は平秩東作(木村了)とともに新たな手段を講じる。