「第4回 城端線・氷見線再構築会議」が5月16日に行われ、新型車両のデザインが公開された。「KASANE」をコンセプトに、海と山を結ぶ路線を表現しつつ、あいの風とやま鉄道とのつながりも感じるデザインになっているという。
現行の城端線(高岡~城端線)・氷見線(高岡~氷見間)はJR西日本の路線だが、富山県などが申請した鉄道事業再構築計画を国土交通省が2024年2月8日付で認定したことを受け、計画開始からおおむね5年後をめどに、あいの風とやま鉄道へ事業譲渡される予定。鉄道事業再構築に向けた具体的な施策のひとつに「新型車両の導入」が挙げられ、2024年9月に設置された「城端線・氷見線新型車両デザイン検討作業チーム」により、協議が続けられてきた。
5月16日の「第4回 城端線・氷見線再構築会議」で公開された新型車両のデザインは、デザイナーの鈴木啓太氏(PRODUCT DESIGN CENTER)によるものだという。コンセプト「KASANE」について、城端線・氷見線沿線の自然・風土・文化、再構築事業の調査や理解にもとづいた綿密なストーリー検討により、「伝統×未来、海×山、東西×南北、日常×観光」をデザイン。「沿線4市の歴史と特徴、今後の展開・連携、事業主体となるあいの風とやま鉄道といった、城端線・氷見線の未来を、高い次元でシンボリックに表現している」と評価された。
新型車両の外観は、沿線の風景や自然になじむだけでなく、斬新かつ飽きのこない洗練されたデザインに。車体前面は安全性と審美性を両立した立体感あるデザインで、ライトにLEDを使用することにより、個性豊かな表現が可能とされている。城端線・氷見線の美しい風景と利用者をつなぐ機能を果たす窓の一部に丸窓を取り入れるなど、「利用者が沿線の魅力、路線への愛着、ワクワク感を感じられるデザイン」とした。
内装は明るい室内空間とし、天井と床に木目を活用することで温かみを演出。座席は沿線の車窓から望める豊かな緑を基調としている。「内と外との一体感」を創出したことに加え、機能性も備えたロングライフデザインを意識しており、今後は地場産業との協業による沿線の個性や多彩な富山の「技」をさりげなく演出する可能性も期待できるとのこと。
鈴木啓太氏は新進気鋭のデザイナーとして、相模鉄道のデザインブランドアッププロジェクトをはじめ、インダストリアルデザインだけでなく豊富な経験を有する。新型車両デザインの選考理由として、「城端線・氷見線の再構築事業の趣旨を十分理解し、作業チームの様々な意見にも真摯に対応いただいた。更なる城端線・氷見線の価値向上、ブランド構築に共に取り組むパートナーとしてふさわしく、また今後の活躍が期待できる」ことも評価された。