3番目に注目されたシーンは20時26分で、注目度73.3%。何を言ってもすれ違う鳥山検校とお瀬以のシーンだ。

鳥山検校はお瀬以を書庫に連れ出した。本が好きなお瀬以は、たくさんの本を前にして喜んでいるが、以前、屋敷を訪ねてきた吉原者たちと笑いあっていた時とは全く違い、その口調はよそよそしい。

自分の元にいるよりも吉原にいたほうが幸せなのかと勘ぐる鳥山検校に、お瀬以はそのような女がいるはずがないと否定するが、鳥山検校はなぜ吉原者たちといる時のように声が弾まないのかとさらに追及した。

「吉原の者と話す声が弾んでおるとすれば、親兄弟に似た親しみがあるからかと。それは旦那様をお慕いする気持ちとは別のものにございます」「所詮、わしは客ということか? どこまで行こうと女郎と客。そういうことだな」「旦那様、それは違います」「もうよい。嘘ばかりの女郎声など聞きとうない!」激昂し叫びながら足をもつらせその場に倒れた鳥山検校は、あわてて寄り添うお瀬以の手をも払いのけ自らの力で立ち上がると、そのまま部屋を出てしまった。そして、お瀬以を一人部屋に残し、外から鍵をかけた。

「嫉妬の爆発した鳥山検校が怖すぎる」

ここは、お瀬以に対して激しい愛憎の念を抱く鳥山検校に、視聴者の注目が集まったと考えられる。

蔦重と楽しく談笑するお瀬以の姿を認めて以来、鳥山検校はお瀬以に強い嫉妬心を持つようになった。鳥山検校はお瀬以のために金や権力を惜しみなく使うが、お瀬以の心を得ることはできず、お瀬以に対する愛憎の念を増幅させていく。

SNSでは、「嫉妬の爆発した鳥山検校が怖すぎる」「嫉妬にかられた鳥山検校がモラハラ夫になっちゃった」と、闇落ちした検校に驚がくする視聴者のコメントが集まった。その一方で、「お瀬以がどれだけ頭で鳥山の愛に報いようと思っても、鳥山には心にずっと蔦重がいるのが聞こえるんだよね」「尽くしても尽くしても報われない、鳥山検校の気持ちも分かる」と、鳥山検校に同情する声も上がっている。男女関係はいつの時代も複雑だ。

余談だが、鳥山検校や今回登場した座頭たちはみな坊主頭だが彼らは僧ではない。当道とは、平安時代にあらわれた琵琶法師が自分たちの芸道・集団を当道と名乗ったのが始まり。琵琶法師は、琵琶を演奏しながら物語を語る盲目の僧侶、または僧侶の姿を模した芸能者のことだ。7~8世紀頃に中国から伝来した琵琶が盲目の僧侶と結びつき、経文や物語の伴奏楽器として用いられるようになったのが始まりと言われている。当道は、当初は仏教の経典を琵琶の伴奏に合わせて唱える盲目の僧侶だった。その後、物語を語るようになり、特に平家物語の語り部として知られるようになる。

鳥山検校を演じる市原隼人は、熱演で観る人を魅了する実力派の俳優として知られている。2017年『おんな城主直虎』では、主人公・井伊直虎の兄弟子であり、武芸の達人でもある傑山を、2022年『鎌倉殿の13人』では、常陸の豪族・八田知家を荒々しく野性的に演じた。着物の胸元をはだけさせたくましい胸筋を覗かせる知家は、当時「セクシー八田」と呼ばれ大いに話題になった。『べらぼう』での鳥山検校は知家とは違い、知的でミステリアスな面を見せてくれている。そのたたずまいに魅せられる視聴者も多いようだ。