日本最長の歴史を持つ日曜劇場で放送中の『GIFT』(TBS系)。あえてパラスポーツの車いすラグビーをテーマに選んだ意欲作だが、主人公の宇宙物理学者・伍鉄文人を演じる堤真一を見ていて30年前のあるドラマを思い出した。

その作品は1996年放送の『ピュア』(フジテレビ系、FODで配信中)。堤は同作で民放連ドラ初出演にして主演・和久井映見の相手役を務めたが、どこかその作風や役柄が『GIFT』と似たところを感じさせられる。

『ピュア』はどんな物語で堤はどんな役柄を演じていたのか。また、『GIFT』とはどんなところが似ていたのか。ドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『ピュア』(C)フジテレビ

    『ピュア』(C)フジテレビ

月9全盛期で異色の作品だった

第1話のファーストシーンは、雪の降る雑踏で1人しゃがみ込み、小さな雪だるまを作っている主人公・折原優香(和久井映見)の姿からスタート。優香が酒に酔った若者にナンパされ、連れ去られそうになると、沢渡徹(堤真一)が助け出す。この時点で当作がラブストーリーであることがわかるだろう。

しかしその直後、雪だるまは前日に死んでいた小鳥のために作っていたことがわかる。沢渡が「お前バカなんじゃないの?」と突き放すと、「そうかな」と首をかしげ、「あなたいい人ですね」と返す優香。その表情やしゃべり方を見た視聴者は優香が知的障害を持つ主人公ということに気付かされる。

『ピュア』は、同年に『ロングバケーション』、翌年に『ビーチボーイズ』『ラブジェネレーション』などが放送された月9ドラマ全盛期では異色の物語だった。純粋無垢で明るい優香に対して沢渡はやさぐれた男。幼いころに両親を亡くして施設で育ち孤独を抱えてきたほか、新聞社から左遷され、週刊誌記者としてスキャンダルを追いかけている。

感性が豊かな優香は個性あふれるオブジェを作っていて、彼女の理解者でいとこの神崎涼(高橋克典)が応募した「新時代芸術展」で大賞を受賞する。ただ優香は「天才芸術家」ともてはやされるが、同時に勝手なレッテルを貼られ、興味本位な目線にさらされてしまう。優香を女手一つで育ててきた母・孝子(風吹ジュン)と、彼女を大切に思う涼は不安を募らせ、マスコミや沢渡との関わりを絶とうとするが……。

という流れで物語は進んでいくが、当作は『ロミオとジュリエット』のような禁断の関係性を描いた作品ではない。作品名の通り、ピュアな心を持つ男女の不器用な恋にスポットを当てる作品だった。