近鉄グループホールディングスは、「近鉄グループ長期ビジョン 2035」「近鉄グループ中期経営計画 2028」の策定について発表した。中期経営計画において、「夢洲直通列車」「新型観光列車」「ビスタカー更新」など検討することも示された。

  • 近鉄特急で活躍するビスタカーの更新も検討

「近鉄グループ中期経営計画 2028」の中で、鉄道事業のおもな中期戦略として「安全輸送を大前提とした効率的な事業体制の強化」「沿線活性化と需要喚起の取組みによる収入の拡大」の2つを挙げる。「沿線活性化と需要喚起の取組みによる収入の拡大」について、名阪特急の増発など需要に応じたサービスを強化するとともに、式年遷宮や大阪IR開業に向けた需要取込み準備も行う。コンセプトやテーマ性の高い列車の導入も検討し、「夢洲直通列車」「新型観光列車」「ビスタカー更新」などで新たな魅力を発信。近鉄ファンの創出を図る。

このうち「夢洲直通列車」に関して、近鉄奈良線・けいはんな線が接続する生駒駅を介した直通列車の開発・運行を検討するという。「近鉄グループ長期ビジョン 2035」でも「大阪IR開業を見据え、夢洲と近鉄沿線(奈良大和路・伊勢志摩 等)への直通列車の開発・運行を検討」と説明。交通利便性を生かし、夢洲周辺ベイエリアから近鉄沿線への誘客拡大をめざす。

  • 近鉄奈良線・けいはんな線を介した「夢洲直通列車」の開発・運行も検討

  • 近鉄の新型一般車両8A系。2025年度以降も新型一般車両の導入を進める

もうひとつの中期戦略である「安全輸送を大前提とした効率的な事業体制の強化」について、省エネ効果の高い新型一般車両を2025~2028年度に150両程度導入(予定)し、従来車比で使用電力量45%減、全体比で使用総電力量の年間3~4%減をめざすとのこと。各種設備の更新による省力化・省人化(2025~2028年度の投資額は60~80億円程度)、DX・ITによる業務効率化も行い、省人効果のある駅巡回対応やワンマン運転化を拡大するとともに、主要路線への導入も検討。さらなる収支改善に向けて、ダイヤ見直しによる運営コスト削減も行う。支線エリアにおいて、地域と連携したにぎわい創出の施策も推進する。