第7話「好機到来『籬の花』」では、前回に引き続き1775(安永4)年の様子が描かれた。
鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)が召し取られ、空いた席を狙う蔦重だったが、鶴屋喜右衛門を始めとする地本問屋からは歓迎されなかった。それでも蔦重は、今の倍売れる細見を作れば仲間入りを認める、という約束を何とか取り付け動き出すが、そこに西村屋与八と小泉忠五郎が立ちはだかる。花の井は吉原と女郎を思って動く蔦重を後押しするため、五代目瀬川を襲名することを決意。さまざまな工夫とともに、その情報が掲載された蔦重の『吉原細見・籬の花』は絶賛され、地本問屋からの注文が殺到した。
注目度トップ3以外の見どころとしては、意外なキャスティングがされた地本問屋の面々が挙げられる。村田屋治郎兵衛を松田洋治が、岩戸屋源八を中井和哉が、奥村屋源六を関智一が、松村屋弥兵衛を高木渉というベテラン大物声優たちが演じた。
松田洋治の代表作といえば、何といっても『もののけ姫』の主役・アシタカではないだろうか。大河ドラマには、1979年『草燃える』、1983年『徳川家康』、2001年『北条時宗』以来4度目の出演となる。
中井和哉はアニメ『ONE PIECE』のロロノア・ゾロやゲーム『戦国BASARA』の伊達政宗でおなじみ。大河ドラマは『べらぼう』が初出演で顔出しは珍しく、X(Twitter)ではトレンド入りを果たした。
関智一は『ドラえもん』の2代目・骨川スネ夫や『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのイザーク・ジュール、『鬼滅の刃』の不死川実弥が有名。大河ドラマは2022年『鎌倉殿の13人』に続いて2度目の出演となる。
高木渉は『名探偵コナン』の小嶋元太と高木刑事の2役があまりにも印象的。大河ドラマは2016年『真田丸』、2021年『青天を衝け』に続いて3度目の出演になる。オープニングでは4人の名前がズラリと並んだが、何かのアニメ番組とチャンネルを間違えたと思った視聴者が後を絶たなかったようだ。
そして、のちに吉原を代表する花魁・誰袖の少女時代・かをり(稲垣来泉)の初登場のシーンも見どころの1つだった。蔦重ににぞっこんのかをりだが、なかなかにぶっ飛んだキャラクターに思える。かをりを演じる稲垣来泉は、研音所属で千葉県出身の14歳。大河ドラマは『べらぼう』が初出演だが、2015年のデビュー以来、多数のTVドラマやCMに出演している。『ONE PIECE』のファンだそうだが、ゾロとの共演シーンがあることも願いたい。
また、九郎助稲荷での蔦重と花の井のやり取りも話題になっている。SNSでは、「花の井姉さんは本当にかっこいいですね」「花の井が本当に男前!」「吉原のために頑張る蔦重も、それを支える花の井もすてき」といった、花の井の粋な言動が絶賛されている。2人の関係は江戸時代のソウルメイトだ。
きょう23日に放送される第8話「逆襲の『金々先生』」では、蔦重の新しい細見がきっかけとなり吉原はにぎわい、瀬川となった花の井の前に、ある富豪が現れる。また、幕府では「日光社参」を利用して金を集めようと田沼意次(渡辺謙)が画策する。