3番目に注目されたシーンは20時33分で、注目度70.0%。チーム松葉屋が内々に細見を倍売るためのアイデア出しをするシーンだ。

蔦重の熱にあてられた松葉屋半左衛門(正名僕蔵)は、妻・いね(水野美紀)と店の看板である花魁・花の井とともに、蔦重に「倍売れる細見」を作らせるために、これまでに出版された細見を読みながら頭を悩ませていた。

しかし、今までの細見に載っている情報はどれも代わり映えがなく参考にならない。行き詰まった雰囲気の中、突然いねが奇声をあげた。「見切ったざんす。細見がバカ売れするのは名跡の襲名が決まった時さ!」長年、吉原で過ごしてきたいねは、どんな時に細見が売れていたのかを思い出したのだ。「売れた! 売れてたよ! あの子、染衣が四代目の瀬川が名跡を継いだ時も!」半左衛門も当時の様子を思い出したようだ。有名な名跡の襲名が決まった細見はよく売れる…そう知った花の井は、1つの策を思いついた。

チームワークの良さに反響

ここは、半左衛門の妻・いねのひらめきに、視聴者の関心が集まったと考えられる。

これまでの忘八は、蔦重のやることに直接的に関わることはなかった。蔦重が勝手に動くことで、吉原に客が増えればラッキーくらいにしか思っていなかったのだろう。実際に『雛形若菜』が西村屋が横取りした時も、蔦重のフォローに回る者はいなかった。それでも蔦重は自分が傷つくことを恐れず、吉原と女郎ファーストを貫くことによって、とうとう人の心を忘れたといわれる忘八の心をつかみ始める。現代のビジネスでもよく言及される「周囲を巻き込む力」が、蔦重には備わってきた。結果、半左衛門が花の井に一緒に細見を倍売る手立てを考えようと提案し、妻・いねのひらめきから突破口が開かれる。

SNSでは、「松葉屋が蔦重の為に協力してくれるなんて、何かいいな」「花の井の『あいっ』ていう返事がかわいい」「松葉屋さん、しっかり花の井を気づかっているんだな」などと、松葉屋のチームワークの良さが反響を集めた。そして、瀬川を襲名する決意をした花の井に、「やっぱり、花の井姐さんかっこよすぎる」「マジで花の井がヒーローに見える」と、賞賛の声も多く集まっています。瀬川を襲名したことで花の井の運命はどう動くのだろうか。

瀬川は松葉屋に代々受け継がれてきた名跡で九代目までいたと言われている。特に四代目は美貌はもちろん、三味線・浄瑠璃・笛太鼓・舞踊など芸事の腕前に秀でており、茶の湯・和歌・碁・双六・蹴鞠などの教養にも優れた才媛だったが、28歳の若さで亡くなった。その跡を襲名した花の井は五代目瀬川となるが、彼女はのちに伝説の遊女として広く知られることとなる。歴代の瀬川が高額で身請けされたので、松葉屋は大きな財産を築いたそうだ。