2番目に注目されたのは20時22分で、注目度71.6%。蔦重が与八との対決のあと、旦那衆に熱弁をふるうシーンだ。

「お断りします」蔦重は西村屋与八と小泉忠五郎の、ともに細見の改を行わないかという誘いを固辞した。蔦重は倍売れる細見を作り、地本問屋の仲間入りを果たすつもりでいるのだから当然である。与八と忠五郎は吉原の旦那衆に、蔦重の細見を買い入れた女郎屋の女郎は『雛形若菜』には使わないことを宣告するために、駿河屋に乗り込んできていたのであった。蔦重との交渉が決裂し、与八と忠五郎は去ったが、旦那衆たちの顔色はさえない。蔦重は『雛形若菜』の代わりになるものを自前で作ると言ったが、それでも皆の反応は鈍い。

蔦重はそんな主人たちに向かって、西村屋は己の私利私欲のためだけに動いており、吉原のことを何も考えていない、女郎たちを江戸で一番だと胸を張らせてやりたいと熱弁をふるった。さらに、「女の股で飯食ってる、腐れ外道の忘八のたった一つの心意気なんじゃねえっすか」と気を吐き、「つまんねえ脅しに負けねえで、ともに戦ってくだせえ」と深く頭を下げるのだった。

「蔦重の熱がついに忘八を動かした!」

このシーンは、旦那衆に檄(げき)を入れる蔦重にシビれた視聴者の注目が集まったと考えられる。

与八は蔦重からかすめ取った『雛形若菜』を使って旦那衆に脅しをかけてきた。唐丸(渡邉斗翔)とともに作り上げた『雛形若菜』をこのように使われた蔦重は、内心はらわたが煮えくり返る思いだっただろう。与八がこのような露骨な手段に出たのも、裏を返せば蔦重の力量を恐れてのことだから、老舗である西村屋にさえ脅威を感じさせる蔦重の才覚は相当なものだ。

そんな与八を退けるため、旦那衆を相手に熱弁を振るう蔦重に、SNSでは、「蔦重の熱がついに忘八を動かした!」「忘八たちの心をギュッと掴むのよすぎる」「横浜流星くんの蔦重、情熱が伝わってきてめちゃくちゃ熱い!」「蔦重の吉原に対する真剣さが横浜流星の演技で際立っている」と、画面越しでも感じる蔦重の思いや、横浜流星の演技に賞賛の声が集まっている。横浜は忘八たちに熱く訴えかける際に、声のトーンや目線で蔦重の心情を見事に表現していた。役の心情や背景を理解して、演じるその表現力の高さはさすがである。

第1回では、忘八は蔦重の切実な言葉に誰ひとり耳を貸さなかった。それどころか、桶伏せという過酷な仕置きまで行った。しかし、『吉原細見』の改や『一目千本』で実績を上げた蔦重は、儲け第一主義の忘八にも一目置かれる存在となりつつある。これからも蔦重と忘八には手を取り合って吉原を盛り上げていってほしい。