里見香奈女流五冠がプロ棋士を目指す、棋士編入試験五番勝負の第2局が9月22日(木)に東京・将棋会館で行われています。

試験官は新四段5名が担当し、5局中3勝を挙げると合格となります。第1局では試験官を徳田拳士四段が務め、徳田四段が勝ち、里見女流五冠は黒星スタートとなりました。なお徳田四段は本局をはじめ各棋戦で勝ちまくっておりデビュー以来の通算成績は驚異の18勝1敗。第12期加古川青流戦で決勝に進出するなど旋風を巻き起こしています。

第2局の試験官は岡部怜央四段。山形県鶴岡市出身の23歳、加瀬純一七段門下です。今年デビューし、通算成績は6勝6敗です。

先手番の里見女流五冠は、初手に▲5六歩、3手目に▲5八飛と早々に中飛車を宣言。堂々とエース戦法を投入しました。岡部四段は当然入念に準備してきたことでしょう。角を8四の地点に転換して先手の攻勢を牽制する「三手角」に構えます。

駒組みの最中、里見女流五冠が指した▲7七桂が意欲的な一手。8筋の守りが一瞬弱くなるので後手の仕掛けを誘発しそうですが、仮に後手が仕掛けてきても十分に迎え撃てると判断して、目いっぱいに構えました。

対して岡部四段は34分の考慮の末、仕掛けを自重、守りを固めました。昼食休憩の時点でまだ駒の交換はなく勝負はこれからですが、先手の里見陣は無駄な駒が一つもなく、いかにも指し慣れている印象です。

お互いに仕掛けが難しく、ややもすれば手詰まりになるおそれもありそうな局面。これからどちらがどのような形で戦端を開くかがまずは午後からの注目ポイントとなりそうです。

本局の持ち時間は3時間。終局は本日夕方以降になることが予想されます。

大石祐輝(将棋情報局)

棋士編入試験第2局に臨む里見女流五冠(提供:日本将棋連盟)
棋士編入試験第2局に臨む里見女流五冠(提供:日本将棋連盟)