平成仮面ライダーシリーズの「変身ベルト」商品を大人向けにグレードアップさせ、精密造型と豊富な音声ギミックでファンから好評を得ている「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」最新作として、『仮面ライダー鎧武』(2013年)の「戦極ドライバー」の商品化が発表され、大きな話題を呼んでいる。さらに、新作となる『鎧武外伝 仮面ライダーグリドンVS仮面ライダーブラーボ』が、東映特撮ファンクラブ(TTFC)で配信スタートしている。

左から吉田メタル、松田凌 撮影:大塚素久(SYASYA)

『仮面ライダー鎧武』は、2013(平成25)年10月6日から2014(平成26)年9月28日まで、テレビ朝日系で全47話が放送された連続テレビドラマ。巨大企業「ユグドラシルコーポレーション」が人々の生活を支える計画都市・沢芽市では、ビートライダーズと呼ばれるストリートダンスチームの勢力争いが勃発していた。元「チーム鎧武」のメンバーだった葛葉紘汰(※葛の人の字は人でなくヒ)(演:佐野岳)は、不思議なベルト「戦極ドライバー」と錠前型アイテム「ロックシード」を手に入れたことにより、アーマードライダー「鎧武」に変身する力を得た。やがてビートライダーズの各リーダーも次々と戦極ドライバーを手にして、それぞれ強い野心を備えたアーマードライダー同士の激突が始まった……。

本作には実に個性豊かなアーマードライダーが何人も登場し、自分自身の存在意義をかけて強敵との戦いに臨んでいく。"果物の王様"と呼ばれるドリアンのロックシードを用いる仮面ライダーブラーボの変身者は、フランスで修行を積んだパティシエで洋菓子店「シャルモン」を開いている凰蓮・ピエール・アルフォンゾ。フランス国籍を取得するため従軍し、落下傘部隊に所属していた経歴を持つ彼は、すべての物事において"プロフェッショナル"であることに誇りと美意識を持つ男である。

そして、「チームインヴィット」のリーダーとして戦極ドライバーを入手した城乃内秀保は、ドングリロックシードを用いて仮面ライダーグリドンに変身。城乃内は当初「チームレイドワイルド」のリーダー・仮面ライダー黒影/初瀬亮二(演:白又敦)とコンビを組み、卑怯・卑劣な手を使ってでも他のライダーたちを出し抜こうとする"策士(自称)"だったのだが、やがて凰蓮の"弟子"としてパティシエ修行に励むようになり、彼なりの正義感と"プロ意識"を芽生えさせていく。

オーバーロードが世界を侵略し始めた非常事態の際でも、凰蓮と城乃内は独自のポジションから人々を守るための戦いを続けていた。緊張感漂うシチュエーションの中にあってもコミカルな空気を絶やさないこの2人は、『鎧武』という作品に欠かせない"癒し"のポジションとして重要な存在となった。

2020年10月25日、そんな2人をメインに据えた待望の「鎧武外伝」=スピンオフドラマが、東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて配信開始となった。タイトルは『鎧武外伝 仮面ライダーグリドンVS仮面ライダーブラーボ』。ここでは「CSM戦極ドライバー」発売決定と、新作スピンオフドラマ配信開始を記念して、グリドン/城乃内を演じた松田凌とブラーボ/凰蓮を演じた吉田メタルにご登場いただき、劇中の師弟関係を思わせるような息の合ったコンビネーションでの対談トークを繰り広げてもらった。

吉田メタル(よしだ・めたる)。1971年生まれ。石川県出身。1992年に劇団☆新感線へ入団し、舞台『ゴローにおまかせ』で俳優デビュー。『ELF The Musical』(2019年)、『けむりの軍団』(2019年)、『偽義経冥界歌』(2020年)、など、舞台・ミュージカルで活躍する。『仮面ライダー鎧武』(2013年)の凰蓮・ピエール・アルフォンゾ役をはじめとするテレビドラマ、バラエティ番組に出演するほか、ヴィジュアル系バンド「NINJAMAN JAPAN」主宰も務める。
松田凌(まつだ・りょう)。1991年生まれ。兵庫県出身。2011年にCM出演で芸能界デビュー。ミュージカル『薄桜鬼』(2012年)、『Messiah メサイア』(2013年)『ZIPANGパイレーツ』(2013年)『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~』(2019年)をはじめ、多数の舞台に出演。『仮面ライダー鎧武』(2013年)『Messiah メサイア -影青ノ章-』(2015年)、『ニーチェ先生』(2016年)、『男水!』(2017年)といったテレビドラマでも活躍する。

――まずはお2人が『仮面ライダー鎧武』に出演されていたころのお話から伺っていきたいと思います。それぞれ仮面ライダーに変身する役柄を演じられて、どんな思いを抱かれていたのでしょうか。

松田:なんといっても仮面ライダーになれるわけですから、最初にお話をもらったときはめちゃめちゃうれしかったですよ。ただ、城乃内という男は最初、どんな卑怯な手を使ってでも勝とうとする"策士"キャラでしたから、相棒の(白又)敦(仮面ライダー黒影/初瀬亮二役)と共に、正統派のライダーじゃなくて"ワル"寄りだったんですね。

僕ら、撮影現場で子どもに声をかけられることがよくありましたけど、(佐野)岳や(高杉)真宙は「紘汰がんばって!」「ミッチがんばって!」と応援されるのに対し、僕と敦は子どもたちから「ズルイぜ!」なんて言われて、けっこう反発されてたんです(笑)。それで、ちょっと悲しいなあって思いましたが、でもこういう役回りだしなあ、子どもが見て「こいつ嫌いだな」って思われたら、それは役者としてはうれしいことなんだ……って自分を納得させながら演じていました。

それでも、ロックシードの変身音声のように「ネバーギブアップ!」精神でやっていくうち、だんだん城乃内にもファンの方たちから温かい声がかかるようになりました。それは、本当にありがたいことだと思っています。

吉田:凰蓮の役柄が「元傭兵で、パティシエで、オネエ系」だと聞かされて「えらい要素が多いな~」という感想を抱きましたね(笑)。実際に役を演じるにあたっては"オネエ系"という部分に細心の注意を払わなければいけないなと思いました。一口に"オネエ"といっても、非常にデリケートな意味合いを含んでいるでしょう。子どもが見る作品ですから、演じる側がしっかりと表現について、定義をしておく必要があるなと思ったんです。男性でありながら女性的な言葉を使うけれども"下品"な振る舞いはしたくなかった。最初のころは、ブラーボに変身した後はスーツアクターさんの領分だと思っていたんですが、自分のイメージと違う動きを見たときに「ちゃんと自分の思いを伝えておかなければ」と思って、変身前と変身後の芝居について積極的にディスカッションしていくようになりました。