――紘汰を含むビートライダーズの"若者たち"とも、ユグドラシルに関わる新世代ライダーの"大人たち"とも異なる独自の立ち位置で、自由にふるまう凰蓮の濃厚なキャラクターは大評判となり、時に"笑い"を提供し、時に"プロフェッショナル"の矜持を見せつけるなど、物語の中でひときわ存在感を強めていましたね。やがて城乃内も凰蓮の弟子としてパティシエ修行に励み、2人の"師弟関係"が注目されるようになりましたね。

吉田:最終回を迎えたころ、2人でしみじみ言い合ってたよな。「俺ら最終回まで、おったなあ」って(笑)。

松田:しぶとく生き残りました(笑)。

吉田:『鎧武』ではたくさんのライダーが出てくるので、人によっては途中で消えたり、玩具が出なかったりする場合もある中、グリドンとブラーボのコンビはびっくりするほど人気が高まって、うれしかったよね。

松田:ブラーボやグリドンのフィギュアが出たり、ロックシードが出たり。ありがたいことだと思いました。それらがみんな、今回のスピンオフドラマとして結実するんですよ。

――ファンの方たちから直接、応援の言葉をかけられたことはありますか?

松田:『鎧武』テレビシリーズが終わって1か月後くらいのタイミングで写真集を出すことになって、"お渡し会"イベントを開催したんです。会場には紘汰や城乃内のコスプレをして来てくれた方がいらっしゃって、感激したのを覚えています。

何より心に残ったのは、小学生の男の子から「ぼくは学校の成績も悪いし運動もできないけれど、"ネバーギブアップ"で頑張ります。強い人間になります!」と言われたこと。その言葉を聞いたとき、あまりの感動で思わず泣いちゃったんですよ。その子からは手紙をいただいたんですけど、それも大事に取っています。そのとき、城乃内も子どもに夢を与えることができたんだなあ……と思って、以来「ネバーギブアップ」は自分の中でも大切な言葉として受け止めています。

吉田:ええ話やな。ネバーギブアップやもんな、君。俺の変身音は「ミスターデンジャラス」やからなあ。

松田:それも最高じゃないですか。

吉田:子どもから「ミスターデンジャラスの気持ちで頑張ります」なんて言われたら、すぐ「アカンアカン!」言うよ(笑)。

松田:メタルさんも街でよく声をかけられるでしょう。

吉田:小さな子がトコトコ近寄ってきて、何を言うのかと思ったら「強いね~」って声かけられたりした(笑)。東京では、娘といっしょにスーパーに行き、食玩のドリアンロックシードを見つけて「父上のロックシードあったよ~」って大声で呼ばれたりするのに、誰も反応してなくて……ぜんぜん気づかれないんですね。でも大阪だと、あの衣装を着ていなくて普通に外を歩いているだけなのに、お父さんやお母さんが「あっ、凰蓮さん!」ってすぐ声をかけてくるんです(笑)。凰蓮のイメージと違う格好をしていたのに、なんでわかるのかと。

松田:そういう、誰に対しても友だち感覚なところ、大阪の人らしいですね。もしかしたら東京の人たちはメタルさんがいるのに気づいていながら、気を遣って声をかけなかっただけなのかもしれません。

吉田:「ほら、凰蓮さんやで!」って言って息子を呼んだんだけど、息子のほうは俺が誰なのかがわかってなくて、お母さんが懸命に説明するんですよ。それで、その子と握手するんですけど、きっと誰と会ったのかわからないまま握手したんだろうなあ(笑)。

松田:テレビシリーズのころ、僕と(佐野)岳、(小林)豊、敦たちがいっしょに撮影所の近くを歩いていたときなど、ファンの方たちに声をかけられることが多かったんです。でも、普段メガネをかけていないのもあって、ほとんど「城乃内だ」と言われたことがないんですよ。隣に岳や豊がいるのに、俺だけスルーかよ!って、よく思いました。

吉田:ひとりだけ役者やなくて、マネージャーと間違われてたりして(笑)。

松田:どうなんでしょうね……声かけてくれへん、寂しいなあと思いつつ、これは、俺がメガネをかけてないからや!と自分に言い聞かせていました(笑)。