佐々木五段の意欲的な作戦に対し、冷静に応対して佐藤九段が勝利。3度目のリーグ入りに前進

第70期王将戦二次予選(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の▲佐藤天彦九段-△佐々木大地五段戦が7月21日に東京・将棋会館で行われました。結果は121手で佐藤九段の勝利。挑戦者決定リーグ戦進出まであと1勝としています。

本局は矢倉模様の出だしから、佐々木五段が近年流行している横歩を取らせる力戦形を採用しました。そこから相居飛車になる将棋はよく指されていますが、佐々木五段はより遠大な構想を披露します。

それは向かい飛車に飛車を振り、金をズンズンと繰り出していくというもの。先手の飛車先を棒金で逆襲していきます。2筋の勢力争いは、後手に軍配が上がりました。

2筋を押さえ込まれた佐藤九段でしたが、細心の注意を払いつつ、駒組みを進めていきます。一度7七に上がった銀をあえて壁形になる8八へ引き、一気の決戦の順を封じます。仕掛けを封じられた佐々木五段も自陣の整備に取り掛かりましたが、急戦狙いだった後手陣はなかなかにまとめにくく、次第に先後の陣形差が明らかになってきました。

どんどん理想的な形になっていく先手陣に対し、後手は先に飽和状態を迎えます。やむなく佐々木五段は先攻していきましたが、これは佐藤九段の待ち受けているところ。佐々木五段の猛攻をするするとかわしていき、攻めの間隙を縫って厳しく反撃してリードを奪います。

自玉を佐藤九段の攻め駒でがんじがらめにされた佐々木五段は最後の突撃を行いますが、受けの力に定評のある佐藤九段はもちろん間違えません。しっかりと相手の攻めをかわし切って勝利を収めました。

この勝利で佐藤九段は二次予選決勝に進出です。次局では糸谷哲郎八段-斎藤慎太郎八段戦の勝者と第67、68期以来3度目の挑戦者決定リーグ入りをかけて対戦します。

2期ぶりのリーグ入りを目指す佐藤天彦九段
2期ぶりのリーグ入りを目指す佐藤天彦九段