俳優の草なぎ剛がトランスジェンダー役で主演を務める映画『ミッドナイトスワン』(今秋公開予定)の追加キャストが30日、明らかになった。草なぎ演じる凪沙と一緒に暮らし“疑似母子”となる遠い親戚の娘・一果役は、オーディションでその独特な存在感とバレエの才能を見いだされ、本作が女優デビューとなる新人の服部樹咲が演じる。また、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖らの出演も発表された。

草なぎ剛主演『ミッドナイトスワン』追加キャスト発表

本作は、トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱え新宿を舞台に生きる凪沙(草なぎ)と、親から愛を注がれず生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描くラブストーリー。『全裸監督』『獣道』『下衆の愛』などの内田英治監督によるオリジナル脚本作品だ。

母親からネグレクトを受け、遠い親戚である凪沙の元にやってくる一果役を演じる新人の服部樹咲のほか、バレエに憧れる一果の類い希な才能を見いだし、愛情をもって育てようとするバレエ講師・実花役を真飛聖、若くして一果を産み、水商売で生計を立てながらも日々酒に飲まれ育児放棄とネグレクトに走ってしまった母親・早織役を水川あさみ、凪沙が日々働くショーパブ「スイートピー」の洋子ママ役を田口トモロヲが演じる。

さらに、凪沙と共に働く「スイートピー」の面々には、田中俊介、吉村界人と、注目の若手演技派俳優の2人が瑞々しくもトランスジェンダーとして様々な悩みを抱える難しい役どころを演じる。また、真田怜臣は役者としてだけでなく内田監督の実際の脚本執筆時にトランスジェンダーという立場から実体験を元にアドバイスをしている。

そして、一果の同級生であり同じ教室のライバルでもあるりん役に上野鈴華、りんをバレエのプロダンサーとして育てる事に必死な母親を佐藤江梨子、父親を平山祐介、さらに、トランジェンダーとして生きる凪沙を素直に受け止める事が出来ない凪沙の母を根岸季衣が演じる。

草なぎ剛、服部樹咲、水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖のコメントは以下の通り。

■草なぎ剛
初めてトランスジェンダーの役を演じるという難しさもありましたが、魅力的な皆さんと共演させていただいたおかげで演技に集中し最後まで走りきることができました。
キャストの皆さんと共にしたこの貴重な時間の全てが、ご覧になる方にも伝わると思いますので、楽しみにしていてください。

■服部樹咲
お芝居をするのは初めてで、撮影の前は、緊張して眠れませんでした。台本を見るのも初めての経験で、最初は戸惑いましたが、昔からバレエの舞台で人前に出る事には慣れていたので、実際の撮影の現場は、そこまで緊張せず、すっと一果の役に入る事が出来ました。草なぎさんは、待ち時間から驚くほど凪沙という役に入られていて、大変刺激を受けました。「強くならんといけん」という草なぎさんの台詞から、一果が変わっていくのですが、とても大切なシーンとなりました。生きてきた中で、ネグレクトや、トランスジェンダーなど、自分にとって身近なものではなかったのですが、この映画の一果という役柄を通じて学べました。何かしら印象に残って、考えさせられる映画だと思うので一人でも多くの方に観て頂けたらと思います。

■水川あさみ
草なぎさんが凪沙という人物をどう演じるのだろうということが凄く気になったのがきっかけで、この映画に参加したいと思いました。実際、現場に入ると、凪沙の溢れる母性と抜群の存在感にグっと心を持ってかれそうになりました。この脚本を読んで、人それぞれに自分が背負うべき人生というものがあり、どう受け入れて生きていくのか、どういう風に変わりたいと思うのか、何が正解かわからないですが、自分の人生というものは、苦しくても辛くても楽しくても、素晴らしいものだと思いました。受け入れて前進していく力を感じて欲しいです。

■田口トモロヲ
切ない気持ちを抱く物語です。草なぎさんとは、初めての共演ですが、現場に入った時には既に凪沙になられていて、とても集中されていたのが印象的です。このような題材が日本でも作られるようになったと時代を感じて欲しいですし、感じています。マイノリティの話ですが、時代を超えた普遍性が描かれており、人間の感情や愛情を感じて頂けたらと思います。

■真飛聖
昔から草なぎさんのお芝居が好きで、想像するだけで切ないその物語に、自分が実花として存在できるのが、幸せな時間になるだろうと思いました。凪沙が抱える問題――苦しみながらも女性になりたい、女性として生きていきたいという願いは、今の時代だからこそ、受け入れられるのかもしれません。一果と出会い共同生活が始まったことで生まれた、お互いの心の揺れや、距離の縮まり方が、見ていてはがゆかったです。繊細に描かれた美しい世界観の中で、凪沙と一果のすべてを受け止めてあげたくなりましたし、いろんな人物に感情移入して、心が忙しかったです。生きていく中で何かに悩んでいたら、ダメじゃないよ、いいんんだよ、と、この作品を通じて感じて頂けたら嬉しいです。

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