1敗で横山泰明七段、近藤誠也六段、鈴木大介九段が続く

12月19日に東西の将棋会館で、第78期順位戦B級2組(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の8回戦が行われました。

B級2組は全11回戦、各10局を戦うリーグ戦で、今期は25人のうち上位2名がB級1組に昇級します。7回戦を終えて、丸山忠久九段(9)が6連勝で単独のトップ。それに横山泰明七段(3)、大石直嗣七段(7)近藤誠也六段(21)、鈴木大介(24)の1敗勢が続いていました。(※カッコ内の数字は順位)

丸山九段は名人2期、棋王1期の実績を持つ一流棋士。角換わりを得意としていて、今期は勝率7割超、8連勝を記録するなど好調です。この日は関西将棋会館で阿部隆八段と対戦しました。

丸山九段が先手で対局開始。後手の阿部八段が角道を止めると、丸山九段は左美濃に組んだあと角筋を生かした急戦を仕掛けて、後手陣に襲い掛かります。阿部八段も攻め合いに持ち込んで難解な戦いになりましたが、丸山九段の攻めが1手早く、85手で勝利。連勝を7に延ばして首位をキープしました。

この日、もう一つの注目局は1敗勢の直接対決、鈴木九段―大石七段でした。先手の鈴木九段が四間飛車に構えると、大石七段は居飛車穴熊を目指します。

居飛車穴熊は振り飛車の天敵ともいえる堅い囲いで、迎え撃つ側としても「組まれないように」と考える棋士が多数派です。しかし、鈴木九段は苦にしません。居飛車に「どうぞ」と十分に組ませたうえで、穴熊の弱点といえる端攻めを絡めて攻略します。この対局もそういう展開になり、大石七段も粘りを見せましたが、185手で鈴木九段が勝利しました。

大石七段が持ち時間6時間を使い切ったのに対し、鈴木九段は2時間も使わない早指しで、振り飛車のお手本となるような快勝でした。

鈴木九段は日本将棋連盟の理事を務め、普及の面にも力を注いでいます。趣味の麻雀もプロ級の腕前で、「麻雀最強戦2019」でファイナルに進出。12月14日に行われた決勝卓では、3人のトッププロを相手に優勝。将棋の棋戦優勝2回に続く、新たなタイトルを手に入れました。今後も多方面での活躍が期待できそうです。

話を戻してB級2組は8回戦の結果、丸山九段が7連勝。それを横山七段、近藤六段、鈴木九段が6勝1敗で追っています。9回戦には横山七段―近藤六段、10回戦では鈴木九段―近藤六段の直接対決もあり、ここからが昇級争いの正念場といえるでしょう。

丸山忠久九段(左)と鈴木大介九段