全勝は高見泰地七段と牧野光則五段の2人。1敗で4人が追走

12月5日と12日に東西の将棋会館で第78期順位戦C級2組(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の7回戦が行われました。

C級2組には52人の棋士が所属する大所帯にもかかわらず、昇級枠はわずかに3つ。この狭き門を巡って過酷な戦いが毎年繰り広げられます。前期は10勝0敗の及川拓馬六段、9勝1敗の佐藤和俊七段に続いて、8勝2敗で石井健太郎五段が最後の昇級枠をつかみ取りましたが、石井五段と同成績の棋士はなんと他に5人。彼らは順位の差で涙をのみました。

今期、7回戦終了時点で全勝なのは高見泰地七段(8)と牧野光則五段(25)です。(カッコ内数字は順位を表す)
高見七段は昨年の第3期叡王戦(主催:ドワンゴ)で初タイトルを獲得し、ブレイクした棋士。今年の防衛戦で永瀬拓矢七段(当時。現在は叡王と王座の二冠)にタイトルを奪われてしまっただけに、順位戦では是が非でも昇級を勝ち取りたいところです。

牧野五段で思い出されるのは、2018年2月27日に行われた第31期竜王戦6組(主催:読売新聞社)の中尾敏之五段との将棋です。この将棋は420手! という異例の長手数の末、持将棋となりました。持将棋とは双方の玉が敵陣に侵入し、捕まえるのが難しくなった際に成立するもので、引き分けという扱いになります。この420手という手数は、記録が残っている1954年以降の公式戦では最も長い手数とのことです。

彼らを1敗で追走するのは三枚堂達也七段(9)、大橋貴洸六段(10)、佐藤紳哉七段(21)、古森悠太四段(37)の4人。三枚堂七段と大橋六段は若手棋戦の優勝経験がある若手実力派棋士。佐藤七段は棋戦優勝はないものの、過去に年度勝率1位を達成したこともある中堅棋士。古森四段は順位戦参加2期目というフレッシュな棋士です。

C級2組は残すところあと3戦。断然有利なのは高見七段です。本稿に登場した棋士の中で最も順位がいいため、仮に1敗してもまだ自力昇級圏内。一方、見た目ほど有利ではないのが牧野五段。もちろん残り3戦を全勝すれば文句なしの昇級ですが、もし一つ負けて1敗勢の三枚堂七段、大橋六段が勝つと順位の差で一気に昇級圏外となってしまいます。 佐藤七段と古森四段は自身が勝ち続けた上で上位陣が崩れなければ昇級できません。これが順位戦の厳しいところです。

8回戦は年が明けた9日と16日に行われます。熾烈極まりないサバイバルレースを制するのは誰か。引き続き注目していきましょう。

高見泰地七段