――父親といえば、『月虹ノ旅人』では『牙狼<GARO>』第1シリーズの主役であり、雷牙の「父」である冴島鋼牙が登場する、というのが大きなトピックスとなっていますね。鋼牙を演じられた小西遼生さんと"共演"されたご感想をお聞かせください。

まず、目の前に雷牙と同じ「白コート」を着た人が立っている、という状況がこれまで経験していなかったことで、新鮮な思いを感じました。小西さんとはイベントだったり、プライベートだったりで何度かお会いしたことがありましたが、「もしも冴島雷牙、冴島鋼牙として会ったら、どんな思いを抱くのだろうか」と、ずっと思っていました。映画の中でも雷牙が鋼牙と"対面"する場面は、長年待ち続けてきた父さんと会えたという思いと、これもまた幻影ではないのか、信じられないといった気持ちが混在した上での対面でしたけど、「嬉しさ」のほうが前面に出ていた感じですね。芝居ではない部分で「会えて嬉しい」という感情が強かったかもしれません。

――改めて冴島鋼牙として中山さんの前に現れた小西さんに、どのような印象を抱かれましたか。

役者としても、『牙狼<GARO>』の出演者としても先輩ですし、作品の世界観について僕よりもはるかに詳しく理解していらっしゃいますから、現場でも頼ってしまいました。鋼牙としての存在感もすばらしく、カメラが回った瞬間、そこには「父さん」がいる、という感覚でした。

――『牙狼<GARO>』の魅力に、ホラーと戦う魔戒騎士たちの超人的バトル・アクションがありますが、今回の撮影で中山さんが「難しかった」と思えるアクションは、どのようなところでしたか。

すべてが難しく、やりがいのあるアクションでしたが、特に印象に残っているというと、冒頭の魔獣ルトとの対戦ですね。敵がすごくしなやかな動きで攻めてくるので、リハーサルの段階から戦いにくいな、と思っていました。ふつう、殴られるときのリアクションとしては向こうのパンチに合わせて身体で受けたりするんですけど、身体の動きから少し遅れて打撃が飛んでくるので、リアクションのタイミングをつかむのがとても難しかったんです。ですから、パンチが来るギリギリまで引きつけるというのが、今回のアクションでの印象でした。中盤での"仮面の男"白孔(演:松田悟志)との戦いのときも同じく、松田さんに対する攻撃はギリギリまで攻めて、そして向こうからの攻撃もギリギリに来てからよけるという「ギリギリの攻防」を心がけていました。

――『魔戒ノ花』から実際の時間で5年たち、その分だけ雷牙も魔戒騎士として経験を積み重ね、成長したと考えてよいでしょうか?

それはあると思います。『魔戒ノ花』の雷牙は、怒りに身を任せてしまう部分がありました。自分を忘れて「暴走」するところですね。今回も、雷牙が怒りに燃えるという状況が出てきますが、決して暴走することなく、自分の中で食い止めています。台本を読んだとき、怒りの感情を自制できたということで「雷牙も日々、成長しているんだな」と感じましたし「逞しくなった」と言われるだけの成長を見せなければならないと思ったんです。でもそれは、意識して見せようというのではなく、なるべく自分自身のふるまいから"にじみでる"ようにしようとしていました。

――5年ぶりに再会されたゴンザ役・蛍雪次郎さん、クロウ役・水石亜飛夢さん、マユリ役・石橋菜津美さんの印象はいかがでしたか?

蛍さんは以前とまったく変わらず、冴島家の大黒柱というべきゴンザをずっしりかつしなやかに、柔も剛もあわせ持って存在してくださいました。僕も雷牙も、ひたすら感謝! ですね。水石くんについては、5年で「こんなに成長したの?」と驚くほど、大人の男になっていました。そして菜津美ちゃんは、キレイになりましたね。『魔戒ノ花』のときは可愛いという形容が似合いましたが、より大人の女性の雰囲気をかもし出されて、作品の中でも長い月日が経ったことを感じさせました。