日本の住宅市場は政府の長年の取組にも関わらず、スクラップ・アンド・ビルドの風潮が長く続きました。したがって中古物件は本来のその価値と比べて評価を低く見られてきたのです。しかし「リノベーション」という言葉が市民権を得て、中古市場も昔と少し違ったものになりつつあります。中古住宅を安く購入して、思い通りのリノベーションをして暮らすことが、若い世代にも請けいられる時代になりつつあります。これからの時代、果たして新築住宅と中古住宅どちらを選ぶとよいのでしょうか。

  • 新築と中古リノベ、どちらがいい?

質の良いの物件は価値が下がらない?

中古住宅を購入してリフォームやリノベーションして入居することが注目されるのは、中古物件が格安であるという前提です。安く購入し、余った資金を使いやすくリフォームしたりリノベーションしたりできることがメリットなのです。新築マンションの場合は価格も高くなりますし、設備や内装も一般的なものになり、自分たちのニーズに必ずしもフィットしてるものが見つかるとは限りません。

しかし、今までの日本の中古市場においても、優良物件や市場性の高い物件はそれほど価値が落ちることはなかったのです。つまり安く購入できる物件は、市場性がそれほど高くないという側面も考えられます。資産価値、つまり将来売却したり賃貸にしたりする上で、最初からハンディがあるかもしれないのです。住まいは大きな資産ですので、生涯売却したりする予定はないとしても、資産としての側面は重要です。

人生何があるかわかりませんので、購入する際には資産価値の見極めが大切になります。

新築と中古住宅、その選択は年齢と関係する?

ともに50代の子供のない夫婦が、新築マンションを選択する意味はあまりなさそうです。人生100年と考えて、自立できる年齢と住まいの耐用年数がマッチしているのがベストでしょう。

但しマンションの場合は、建て替え時期は自分たちだけでは決められません。他の住民の合意があれば、自分たちが想定していた時期よりも早く建て替えにならないとも限りません。

また、老後は高齢者施設などに入居する際には、住まいを売却したり貸したりして活用する必要があります。そうした際に活用できる状態にあることが求められます。

若い20代の夫婦が中古マンションを購入する際には、あまり古いと途中で建て替えになることを想定しておかなければならないでしょう。

つまり、新築か中古かの選択は、住み手の年齢や将来計画によって異なります。特にマンションの場合は、建物の耐用年数と老後の活用等をしっかり想定して決めることが重要なのです。

新築住宅と既存住宅のメリット・デメリット

下記の表は新築住宅と既存住宅の一般的なメリット・デメリットを示しています。基本的には価格のみが中古住宅のメリットとなります。ただし、あくまで物件次第であることには違いありません。

  • 新築住宅と既存住宅のメリット・デメリット

瑕疵とは隠れた不具合のことで、新築住宅の場合はその欠陥がまだ見えていないことが多いと思います。住んでみて不具合が判明するケースも多いでしょう。その点、中古住宅はすでに不具合が判明しているでしょう。また所定の瑕疵は、売買の際に重要事項説明書に記載する必要があります。

平成19年に「瑕疵担保責任履行法」が制定され、保険等の加入が義務付けられ、新築住宅の主要な部分に関する瑕疵については、10年間は手直し等が保証されていますが、入居早々のトラブルは避けたいものです。

但し、10年を過ぎた中古住宅に新たに発生した問題については対象とはなりません。契約に瑕疵担保責任が盛り込まれているかの確認は必要です。

上手にリフォーム・リノベーションするには

最近はリフォームやリノベーションにもローンが借りやすくなりました。購入と同時に自分たちにとって暮らし易く手直しするスタイルは、その建物を長く使い続ける上でよい傾向と言えるでしょう。

但し、簡単なリフォームは別として、思い通りのスタイルの住まいを手に入れるとなると、相当のエネルギーが必要です。場合によっては住まいを新築するのと同様のエネルギーを必要とします。

購入する不動産会社や仲介業者にリフォームを一括依頼すると楽かもしれませんが、あまりおすすめしません。不動産会社や仲介業者に無駄な斡旋料をとられるだけです。マンションであれば済んでいる住民や戸建てであれば近所の方などに評判の良いリフォーム業者数社を聞き取り調査して、提案内容や見積内容を比較して決定するのが得策です。

最後に、リノベーションの例として、工藤夕貴さんの「ハリウッドリフォーム」をご紹介します。本来のリノベーションと資産価値のあり方の参考になればと思います。思い通りのスタイルになり、かつ資産価値を上げるリフォームやリノベーションはかなり情熱とエネルギーが必要だとわかります。

■著者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。