あおぞら銀行は7月16日、個人向けの新サービス「BANK」の提供を開始したことに伴い、都内で記者発表会を開催した。発表会ではサービスの概要と開始に至る背景についての説明が行われた。

  • あおぞら銀行の新マネーサービス「BANK」が開始した

    あおぞら銀行の新マネーサービス「BANK」が開始した

 新サービスの3つの機能を紹介

新サービスでは、スマホアプリを軸に3つの機能を提供する。1つ目の「BANK The Debit」は、Visaデビットの機能が付いたキャッシュカードサービス。コンビニやレストラン、カフェなど全国のVisa加盟店でキャッシュレスで支払いが可能なだけでなく、利用額に応じて0.25%~1%がキャッシュバックされる仕組みだ。残高や利用状況などがアプリで確認でき、1日最大500万円まで設定できる限度額の変更もアプリ上で自由に行える。

  • 「BANK」のキャッシュカード。Visaデビットの機能が付属する

    「BANK」のキャッシュカード。Visaデビットの機能が付属する

  • 「BANK」用のアプリのホーム画面。預金残高やVisaデビットの利用金額などをアプリ上で一覧で確認できる

    「BANK」用のアプリのホーム画面。預金残高やVisaデビットの利用金額などをアプリ上で一覧で確認できる

2つ目の機能が「BANK The Savings」。アプリ上で目標金額や積立ルールを設定しておくと、デビットカードを利用する度にルールに応じた積立が自動で行われていくという機能だ。貯金をしたくても、ついつい使ってしまってなかななかためられないという人に向いているユニークなサービスで、特許を出願中とのことだ。

  • アプリ上で目標金額や積立ルールを自身で設定して貯金ができる

    アプリ上で目標金額や積立ルールを自身で設定して貯金ができる

  • 貯金の目標設定は最大20個まで登録できる

    貯金の目標設定は最大20個まで登録できる

3つ目が「BANK The Story」という機能。"人生を豊かにするお金の使い方を提案する"というコンセプトで、有意義なお金の使い方の情報を"ストーリー"としてスマホアプリに配信していく。内容は1万円以内で買えるものやできることが中心になるとのこと。「BANK The Savings」の機能とも連動し、気に入ったストーリーを目標に設定して自動的に積み立てることも可能だ。

  • 「BANK The Story」の一例。買い物や旅行のプランなど、おすすめのお金の使い方を予算とともに紹介する

    「BANK The Story」の一例。買い物や旅行のプランなど、おすすめのお金の使い方を予算とともに紹介する

 サービスの使い方は?

サービスを利用するには、まずは同行の「BANK支店」口座を開設する必要がある。申し込みと手続きは、口座開設用のアプリからワンストップで完了でき、印鑑の登録や書類の提出は不要。

利用にあたっての年会費は無料。普通預金金利としては業界ナンバーワンの年0.20%(税引き後年0.159%)が設定されている。同行は自前のATMを2018年8月から完全に廃止しているが、提携先のゆうちょ銀行のATMなら入出金は無料だ。

あおぞら銀行は、2018年7月にGMOと共同で「GMOあおぞらネット銀行」を開設している。今回のサービスは、それとは別の従来のネット支店を「BANK支店」と改称し、個人向けに特化したサービスを提供する形で、0.20%という金利設定については条件等は一切定めず、固定とのこと。

 新サービスの戦略

同行の顧客は、8割が50代以上というシニア層で、1人あたりの平均預金残高が545万円と安定した基盤が強み。主に店頭でのシニア層に向けた資産運用のためのコンサルティング業務を中心にやってきたが、代表取締役社長の馬場信輔氏は「スマホ時代に合わせて、サービスの多様化、充実が必要」と新サービスの提供の背景について説明した。

  • 代表取締役社長の馬場信輔氏

    代表取締役社長の馬場信輔氏

その上で掲げられたブランドのコンセプトは"SIMPLE × SPEED = SMART"。小売業者を中心に電子決済サービスに相次いで参入して複雑化する昨今の金融市場において、"大人のためのスマホ銀行"と銘打ち、あえてシンプルでわかりやすいサービスを提供することにより、多様化するニーズに応えることでプレゼンスを高めていきたい意向だ。

そのブランド戦略の1つとして、スマホアプリの仕様についてもイメージを刷新していく。クリエイティブディレクターとして、ユニット・ワン代表で、家電ベンチャー・バルミューダの取締役も務める勝部健太郎氏が参画。勝部氏は無印良品の「MUJI passport」や日本コカ・コーラの「Coke On」といったスマホアプリの企画・制作・ディレクションを手掛けたことで知られるが、あおぞら銀行の「BANK」用のアプリもデザインからサービスまでクリエイティブな仕掛けを行っていく。

  • クリエイティブディレクターの勝部健太郎氏(右)と、開発責任者のあおぞら銀行・中井剛氏(左)

    クリエイティブディレクターの勝部健太郎氏(右)と、開発責任者のあおぞら銀行・中井剛氏(左)

「クリエイティビティは銀行業界が最も遅れているところ。銀行としてのセキュリティの確保は当然だが、クリエイティブにもこだわっていきたい」と、新サービスの開発責任者を務める、あおぞら銀行の中井剛氏。勝部氏も「小売業者が金融業に進出しているのとは逆に、銀行が小売りのゾーンに入っていくというのもアリだと思う」と"攻め"の姿勢で新サービスへの意気込みを語った。