人生の節目は、保険を見直す機会でもあります。子どもが生まれた時もそうでしょう。守るべき小さな命の誕生は喜ばしいものですが、同時に「自分にもしものことがあったら……」と考えずにはいられません。また、学資保険など教育費を貯蓄する方法も気になるところです。今回は、子どもが生まれたら保険の見直しはどのようにするべきかまとめてみました。

  • 家族が増えたら保険はどう見直す?(写真:マイナビニュース)

    家族が増えたら保険はどう見直す?

出産後に必要な保障とは

結婚や出産によって養う家族ができると、自分に万が一のことがあった時のことを考えて、必要な保障を確保しておかなければなりません。あなたが家計を支えていて、仮に病気で亡くなった場合、残された家族の生活費や子どもの教育費などが不足する恐れがあります。また、ケガなどで入院して公的保障でまかないきれない医療費が発生するかもしれません。

このような事態に備えるため、子どもが生まれたら「死亡保険」と「医療保険」に加入しておきましょう。

<死亡保険>

死亡保険とは、読んで字のごとく、被保険者(保険の対象者)が死亡または所定の高度障害状態になった時に、残された(または、高度障害状態になった被保険者を支える)家族に死亡保険金や高度障害保険金が支払われる保険のことです。

子どもが成長して自立するまでには、多額の生活費や教育費がかかります。とくに、子どもが幼いうちに一家の働き手に何かあれば、子どもが大人になるまでの長い期間、お金に不安を抱えながら暮らさなければなりません。家計の担い手が死亡や高度障害状態になっても、家族が安心して生活し、子どもの進学にも困らないよう加入するのが死亡保険です。

すでに死亡保険に入っている場合は、子どもの教育費に備えられるよう保障を増額することも検討が必要です。なお、子どもが生まれるたびに、必要な死亡保険金を見直すようにしましょう。

<医療保険>

医療保険は、原則的に、入院や手術をした時に給付金が受け取れる保険です。最近では、保障の充実した医療保険がたくさんありますが、いざ病気やケガをした時には通院で済むことの方が多いはず。まずは、健康保険でまかなえる保障を確認してみましょう。

たとえば、「高額療養費制度」という仕組みがあります。これは、医療費の家計負担が重くなり過ぎることを防ぐため、1カ月あたりの医療費の自己負担分に上限を設けているものです。上限額は年齢や所得に応じて定められていますが、1カ月の自己負担は多くても9万円弱に抑えられます。

また、会社で加入している健康保険組合では、独自でさらに充実した給付を行うところもあります。まずは、すでにご自身が持っている保障を確認してみましょう。その上で、入院でも通院でもどのような治療でも役立つ「現金」で備えることが大切です。

となると、医療保険は入院と手術に備える最低限の保障で十分なのです。これから加入するなら、ネット保険や都道府県民共済がおすすめ。保険料が格安なので、コストを抑えられます。現在加入している医療保険に無駄があるならば、解約するか、もしくは保障の見直しをしてみましょう。

子どもの教育費は学資保険で確保?

子どもが生まれると必ず考えるのが、将来の教育費でしょう。子どもの教育費は成長とともに増加し、大学入学時に山場を迎えます。急に用立てるのは大変ですので、赤ちゃんの頃からコツコツ積み立てていくのが理想的です。

さて、子どもの教育費というと、多くの人はまず「学資保険」を思い浮かべることでしょう。学資保険とは、子どもの将来の教育費を確保するための貯蓄型の保険です。毎月決まった金額の保険料が自動的に引き落とされることで、確実に学資金を貯められます。

また、万が一親(契約者)が死亡してしまった場合は、それ以降の保険料の支払いが免除となり、保障が継続しながら学資金も受け取れる仕組みとなっています。さらに、学資保険は金利が変動しない固定金利であるため、支給額の見通しが立ちやすいという利点もあります。

ただし、学資保険は、いざという時の保障が十分とは言い切れず、特約で医療保障などが付いていると、元本割れすることもあります。さらに、現在、学資保険の返礼率は低くなっていますので、必ずしも学資保険で教育費を準備する必要はありません。

低解約返戻金型終身保険で死亡保障をカバー

学資保険以外で教育費を貯めるおすすめの方法は、「低解約返戻金型終身保険+定期預金」の合わせ技です。先ほど、子どもが生まれたら死亡保障と医療保障が必要とありましたが、そのうちの死亡保障を低解約返戻金型終身保険でカバーし、定期預金で教育費を確実に貯めていくというわけです。

低解約返戻金型終身保険とは、保険料を支払っている途中で解約すると返戻金が低くなる代わりに、保険料を格安にしている死亡保険のことです。保険料の払込期間が満了してから解約すると、解約返戻率が高くなりたくさんお金が戻ってきます。

解約返戻金型終身保険は、受け取りのタイミングを自由に設定できますので、契約者の都合に合わせての運用が可能となります。さらに、万が一、親が亡くなった時の保障が学資保険と比べて非常に手厚いのです。

解約返戻金型終身保険で保障を確保する一方、定期預金で毎月コツコツ貯蓄していけば、保障も手に入り、元本割れせずに教育費が貯められます。自動積立定期預金などを活用すれば、毎月天引きでお金を別口座に移せますので、他のことに使ってしまう心配はありません。

「出産を機に、死亡保障を考えたい。それに、教育費の貯蓄も始めたい」という人は、学資保険以外にもこのような選択肢があることを知っておきましょう。

出産前から準備をしておこう

保険の見直しは、子どもが生まれてからではなかなか余裕がなく、先送りになってしまうことも考えられます。できれば妊娠中から、見直しや教育費を積み立てる準備を始めておきましょう。出産後は、安心して子育てに専念できますように。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。