15歳までの子どもがいる家庭には、「児童手当」が支給されます。子育てにはお金がかかりますので、「児童手当は助かる!」と実感している人は多いのではないでしょうか。ただこの児童手当、ありがたい一方で、有効な使い道に悩むものです。児童手当は、どのように活用するのがよいのでしょうか。児童手当の金額や支給日、所得制限、請求方法などの基本事項もあわせて確認してみましょう。

  • 児童手当の賢い使い方とは? 金額や申請方法についてFPが解説

    児童手当の賢い使い方とは?

児童手当とは

児童手当とは、日本国内に住む0歳から15歳まで(15歳に達してから初めての3月31日まで)の子どもを育てている人に支給される手当です。原則として、子どもと同居していることが受給の条件となり、所得の高い方の親が受給者となります。

受給金額は月5,000円~15,000円で、後ほど解説する「所得制限」に引っかからない標準的な家庭の場合、児童手当の総額は約200万円にものぼります。子どもを育てている家庭には貴重な手当と言えますよね。

それでは、児童手当の詳細や受給するための請求方法などについてもう少し詳しく見ていきましょう。

受給金額

児童手当で支給される金額は、0歳~3歳未満が月15,000円、3歳~小学生が月10,000円(第3子以降は月15,000円)、中学生が月10,000円です。

たとえば、

・第1子が4歳、第2子が1歳の場合
10,000円+15,000円=25,000円が1カ月の受給金額となります。

・第1子が10歳、第2子が7歳、第3子が5歳の場合
10,000円+10,000円+15,000円=35,000円が1カ月に受け取れます。

ただし児童手当には「所得制限」があり、一定以上の所得がある家庭の場合、月の受給金額は5,000円となります。所得制限は、「前年の年間所得マイナス80,000円」が下記の表の「所得限度額」以上だと対象となります。なお、所得限度額は、扶養親族等の人数(前年12月31日時点)によって変わります。

  • 児童手当の賢い使い方とは? 金額や申請方法についてFPが解説

    児童手当の所得限度額

支給日

児童手当は4カ月分をまとめて、年3回支給日があります。2~5月分は6月、6~9月分は10月、そして、10~翌1月分が2月に支給されます。

たとえば、8月に子どもが生まれて児童手当の請求手続きを行った場合、9月から児童手当を受け取ることができます。この場合、9月の1カ月分は10月に支払われ、次回は翌2月に10~1月分が支払われることになります。

請求方法

児童手当は、子どもが生まれたら何もせずにもらえるものではありません。児童手当を受け取るためには、「児童手当認定請求書」を自治体の役所に提出しましょう(第2子以降は、「児童手当額改定認定請求書」)。この請求書は、自治体のホームページからダウンロードするか、役所に取りに行くことで手に入ります。

児童手当は、請求した翌月から受け取ることができますので、子どもが生まれたら早めに請求書を提出しましょう。ただし、子どもの出生が月末に近い場合は、「15日特例」といって、出生日の翌日から15日以内に請求書を提出すれば、翌月分から児童手当をもらうことができます。なお、請求が遅れると、その分の児童手当はさかのぼって受け取れませんので、気を付けてください。

また、児童手当を毎年受け取るには、年に一度手続きが必要です。児童手当の支給が始まると、年1回、5~6月に「現況届」が届きます。この現況届に必要事項を記入し、健康保険証のコピーまたは年金加入証明書を同封して返送しましょう。

その他

児童手当と名称が似ている制度に「児童扶養手当」があります。これは、両親が離婚した子ども、父または母が死亡した子どもなどの養育者が受け取れる手当です(18歳に達してから初めての3月31日まで支給)。ひとり親家庭は、児童手当と児童扶養手当を併用することが可能です。

児童手当の賢い使い方

子どもが生まれると、これまでよりも出費が増え、家計のやりくりが大変になる家庭も多いはず。とくに、共働きで妻が育休中という場合は収入が減るため、児童手当を生活費や子どものオムツ、ミルク代などに充てられればとても助かりますよね。

ただし、子どもにかかるお金は成長とともに増えていきます。教育費の山場となる18歳の大学入学時までには、300~500万円程度を準備しておければ安心ですが、ここに児童手当を活用するとぐっと負担が減ります。

児童手当を全て貯金すると、総額は約200万円になりますので、仮に子どもが高校を卒業するまでに300万円を貯めるなら、児童手当にプラスして自力で100万円を貯めればいいのです。

児童手当を将来の教育費として貯めるポイントは、児童手当を「はじめからないもの」として考えること。そして、生活費と教育費の口座は必ず分けて管理し、「いつの間にか他のことに使ってしまっていた」という事態を防ぐことです。

口座で管理するとどうしても使ってしまいそうという場合は、学資保険に加入し途中で引き出せないようにするのも一つの手です。

児童手当は、コツコツ貯めれば大きな金額になります。家計が苦しい時期には、無理をせず生活費の補てんにするのももちろん有効な使い道ですが、将来の教育費の準備は、早ければ早いほど余裕ができます。「児童手当には手を付けない」というルールを作り、いつの間にかお金が貯まっていた……となれば嬉しいですね。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。