ファストフードとグルメバーガーのあいだ

そうはいっても気になるお値段。シェイクシャックのハンバーガーは全部で5品ある。看板メニューの「シャックバーガー」(710円)はチーズバーガーがその正体だ。最低額のバーガーは、バンズにパティを挟んだだけの「ハンバーガー」(610円)。これにはトマト、レタスなどの野菜とソースが無料でトッピングできる。

  • シェイクシャックの「シャックバーガー」

    看板メニューの「シャックバーガー」はチーズバーガー。パティはホルモン剤を一切使わず飼育された豪州産アンガスビーフ100%。バンズは生地にジャガイモを練り込んだポテトバンズを使っている

これを他店の商品と比較してみると、例えばマクドナルドで近い内容の「グラン クラブハウス」は490円。バーガーキングの「ワッパーチーズ」は570円。クアアイナの「チーズバーガー」(1/3LB=肉の量が約150g)は927円。大阪では梅田と万博公園に2店を展開するJ.S. バーガーズカフェの「チェダーチーズバーガー」はレギュラーで1,110円。西村さんの店バーガリオンの「チーズバーガー」は1,000円……そして、「シャックバーガー」は710円だ。

「リッチガーデン」の安藤さんがいうところの、1個1,000円超えの「下をくぐる」価格帯というのがこのこと。ファストフードといわゆる「グルメバーガー」の間、それがシェイクシャックの立ち位置だ。

  • シェイクシャックのコンクリート「ツウテンシャック」

    大阪名物「岩おこし」を乗せた梅田阪神店限定のコンクリート「ツウテンシャック」(Small:490円)。コンクリートとは、"卵黄多め"で"空気の含有量が少ない"「フローズンカスタード」と呼ばれるフレッシュアイスを使ったスイーツのこと。通常のアイスクリームよりもしっとりとクリーミーに仕上がる

ハンバーガーを測る新たな物差し

他にも、創業のきっかけになったホットドッグやシェイク、名物のオリジナルアイス「コンクリート」、さらにオリジナルブランドのワインやドラフトビール「シャックマイスターエール」などもあって、シェイクシャックのメニューは目移りしてやまない。それこそ角田社長のいう「まずは体験して」というところだが、ここで筆者の体験に基づくアドバイスをひとつ……。

珍しさから、ついついアレもコレもと一気に注文しがちだが、あまりいっぺんに頼むと案外な高値になるので、欲張らず、何度も足を運んで、少しずつ試して行くのが長く楽しむコツに思う。

  • サザビーリーグの角田社長

    「店舗数ありきでなく、場所にこだわりを持ちたい」と話す角田社長。今後は「できればこの2、3年のうちにプラス10店、合計20店」を目標に挙げる

大阪のハンバーガーシーンに大きな影響をもたらす可能性を秘めたシェイクシャック。その噂を聞いて、大阪の人たちがシェイクシャックのハンバーガーを次々と口にしていったなら、従来、ファストフード店を基準に測っていたハンバーガーという食べ物の「物差し」が、徐々にシェイクシャックへと移っていく可能性があると、筆者は見ている。つまり、シェイクシャックは日本のハンバーガーの「新たな物差し」になりうる存在なのだ。

「まだまだブランドをご存知ない方もたくさんいらっしゃる」と角田社長は話すが、それはハンバーガーという食べ物そのものについてもいえること。これを機に、ファストフードからグルメバーガーの専門店、高級ホテルやレストランのものまで幅広く「体験」して、ハンバーガーについてよく知るきっかけになればと願っている。