シェイクシャックが日本に上陸した2015年は、個人経営を主とするハンバーガーの「専門店」が、地道な努力の時期を経て、人気と実力をようやく確かなものとしていった、そんなタイミングと重なる。専門店が根づかせ、コツコツと築き上げていった「食事として十分に成立するような本格的なハンバーガー」の土台の上に、ちょうど折よくシェイクシャックが乗ってきた恰好だ。

  • シェイクシャックの「シュルームバーガー」

    シェイクシャックの「シュルームバーガー」(960円、以下すべて税抜価格)はポートベローマッシュルームとチーズ3種をコロッケのように揚げたものがビーフパティの代わりに挟まった「ベジバーガー」。これがベジタリアン向けとは思えぬおいしさで、筆者もおすすめの1品!

結果として、シェイクシャックは2年半で9店を順調にオープンさせ、都内・首都圏のハンバーガー市場はそれを"追い風"に、いよいよ活気づいた。さて、今度の大阪ではどんな化学反応を引き起こすのか。

迎え撃つ大阪の各店の反応は

大阪・関西の状況を見ると、増えては減ってを繰り返す、なかなか定着しない時期が続いたのちに、2016年辺りから2店目、3店目をオープンする個人店の動きが目立ちだした。今は東京同様、ちょっとした「開店ラッシュ」が続いている。そこへやって来た"黒船"シェイクシャック――。関西の専門店各店の反応は以下の通りだ。

  • シェイクシャックのコンクリート「セサミオシャカ」

    シェイクシャック名物のオリジナルアイス「コンクリート」は全部で3品。写真は黒ごまピューレをトッピングした大阪限定のコンクリート「セサミオシャカ」(Small:490円)

「楽しみに待ってました」と語る北垣勝彦さんは、関西バーガー店の草分けのひとつ、兵庫・西宮「エスケール」(2003年創業)の中心メンバーだった人物だ。「東京に上陸しても関西まで来ない海外の店が多い中、2年半という早さで来たことに勢いを感じます」と高評価だ。

大阪・高槻の本店をはじめ、2店のバーガー店と2台の移動販売車を展開する「ティーズ・スターダイナー」の寺川裕之さんは「嬉しいですよ、東京行かんでいいから」と開口一番。「こうした1個1,000円近くするハンバーガーを新たに知ってもらえる機会ができて、ありがたいです。業界が盛り上がると思います」と歓迎ムードだ。

  • シェイクシャックのポテト「クリンクルカットフライ」

    ポテトは波型にカットした「クリンクルカットフライ」(Small:300円、写真は内覧会用のミニサイズ)。オリジナルビール「シャックマイスターエール」のアテにぴったり

値段にシビアな土地柄

心斎橋、本町、梅田に「リッチガーデン」3店を構える安藤啓示さんは、「怖さもあるが、楽しみと3:7ぐらい。いい影響を及ぼしてくれそう」とした上で、「値付けが絶妙だと思う。1個1,000円を超えるハンバーガーが半ば当たり前なところへ、その"下をくぐる"感じで出してきている」とその価格設定を評価した。

人気店「バーガリオン」をはじめ、バーガー店3店のオーナー西村周平さんは「やっと来てくれた」と喜ぶ一方で、「正直、東京ほど盛り上がるのかな? 大阪で伸びる要素があるのかな?」と不安も覗かせる。「『いきなりステーキ』が大阪ではそれほど売れていない。それぐらい値段にシビアな土地柄」というのがその理由だ。

  • シェイクシャックの大阪限定Tシャツ

    大阪限定Tシャツをはじめ、オリジナルグッズも販売している

商品と価格、そして大阪特有の気風・土地柄について、サザビーリーグの角田社長は「大阪の方々は前向きで元気。シェイクシャックもまさに、そんな元気な店なので、私は相性はいいと思っています」と店舗同様に前向きだ。「まずは体験していただいて、ジャッジしていただけたら。それでも十分に楽しんでいただけると思っております」と、「体験」という言葉を使ってアピールした。