海外勢の上陸が相次ぎ、盛り上がりをみせる日本のハンバーガー市場に、新たなプレイヤーが参入を表明した。“旨み”を前面に打ち出すロサンゼルス生まれのバーガーショップ、その名も「UMAMI BURGER(ウマミバーガー)」だ。日本展開に取り組むのは、アイウェアや下着の輸入・販売を本業とするメディロスホールディングス。一見すると結びつかない両者だが、なぜ手を組むことになったのだろうか。

ブレイク確信で日本上陸を提案

ウマミバーガーは2009年にカリフォルニア州ロサンゼルスで1店舗目をオープン。これまでに5つの州で計24店舗を展開している米国のハンバーガーレストランだ。創業者のアダム・フライシュマン氏は、甘味、酸味、塩味、苦味に続く5つめの味として日本の科学者が提唱した「旨み」に着目し、こだわりの食材と調理法でウマミバーガーを作り出した。

牛肉、チーズ、トマト、マッシュルームといった食材と、昆布、醤油、ホイセン(海鮮醤)、干しキノコなどを調合した調味料を使用し、旨みを引き出して作り上げるウマミバーガー。米国版GQの「2010年のベストバーガーオブザイヤー」や、タイム誌の「史上、最も影響力のある17のバーガー」などに選出されている

「日本で確実にブレイクすると思った」。メディロスホールディングス代表取締役のスティーブン・メディロス氏は、ロサンゼルスで初めてウマミバーガーを食べた当時をこう振り返る。米国人の父親と日本人の母親の元で育った同氏は、「日米双方の良さ」(以下、発言はメディロス氏)を兼ね備えたウマミバーガーに惚れ込み、約2年前に日本展開を持ちかけた。

日本への“凱旋”は創業者の悲願

ウマミバーガーには他国からも引き合いがあったようだが、「旨み」のルーツである日本への“凱旋”を望んでいた創業者のフライシュマン氏は、同社初の海外展開先として日本を選んだ。旨みの本場に挑戦する今回の出店については「(米国のウマミバーガーもメディロスホールディングスも)絶対に成功させたいと考えている」という。

日本1号店は2016年秋~冬にオープンの予定。店舗の立地については関東圏とだけ発表されており、詳しい場所については「楽しみにしておいて」とのことだった。その後の計画としては、2020年までに10店舗を出店する方針。「(日本の)皆に食べてもらいたい」との言葉から考えると、2店目以降の出店場所は首都圏に限らないようだ。出店形態も様々な形を選択肢に入れて検討している模様。

アイウェア、下着、ジュエリーなどの輸入・販売を手掛けるスティーブン・メディロス氏。ウマミバーガーに可能性を感じ、初挑戦となる飲食業への参入を決めた

世の中にあるハンバーガーは多種多様だが、なかなか予想外の味には出会えないもの。こう考えていたメディロス氏も、ウマミバーガーを食べたときには「(従来のハンバーガーとは)全然違う」との感想を抱いた。6オンス(約170グラム)もあるビーフパテであっても、食べたときに「軽く感じた」という同氏は、初来店でハンバーガー2個を平らげたという。この味を日本に持ってくるにあたり、現在は各方面の準備を進めているところだ。