2018年のゴールデンウィークに、また新たなハンバーガーショップが日本へやって来た。その名も「FATBURGER」(ファットバーガー)。ロサンゼルスの店だ。「ヘルシー」や「オーガニック」など、いわゆる黒船バーガーは多様な切り口で日本市場攻略を狙うが、ファットバーガー最大の武器は至って“ふつう”なところだ。

  • ファットバーガーの画像

    ファットバーガーが日本に上陸した

ファットバーガー日本1号店の場所は、東京・渋谷。世界に知られる観光スポットである渋谷駅前のスクランブル交差点を見下ろす、「MAGNET by SHIBUYA109」の7階にある。世界20カ国に200店を構える同店ではあるが、路面店ではないビルイン型の店舗は珍しいそうだ。若者文化の発信地にして世界的観光地である渋谷の、しかもど真ん中にオープンしたファットバーガーとは、どんな店なのだろうか。

  • ファットバーガーが入居する「MAGNET by SHIBUYA109」

    場所は渋谷駅前のスクランブル交差点を見下ろす「MAGNET by SHIBUYA109」の7階。食の新スポット「MAG7」の一角に「FATBURGER」日本1号店がある

やって来たのは昔ながらのハンバーガーショップ

2015年の「SHAKE SHACK」(シェイクシャック)と「BAREBURGER」(ベアバーガー)、2016年の「Carl's Jr.」(カールスジュニア)、2017年の「UMAMI BURGER」(ウマミバーガー)、「THE COUNTER」(ザ・カウンター)と、相次ぎ日本に上陸した米国のハンバーガーレストラン。ときに「黒船」とも呼ばれ、国内のハンバーガー市場を騒がせた彼らだが、しかし今度のファットバーガーは、既存の米国勢とはやや毛色が違う。新手なのに、ちっとも「新しくない」なのだ。

シェイクシャックのようにホルモンフリーのアンガスビーフを使っているワケでもなければ、ベアバーガーのようにナチュラル&オーガニックを徹底しているワケでもない。今度のファットバーガーは、そうした産地や銘柄、トレンドを売りとする店ではない。つまり、本場・米国でもトップを走る「最新・最先端のハンバーガー」がやって来たワケではないのだ。まったく逆。むしろ古めかしい、昔ながらのハンバーガー店の登場である。

「ドカ飯」系食堂を志向? ファットバーガー創業の背景

ファットバーガーが誕生したのは1947年。初めは「Mr. Fatburger」という店名だったが、1952年に”Mr.”が取れて「FATBURGER」になった。今のマクドナルドの前身となる店をマクドナルド兄弟が始めたのが1940年。カールスジュニアの創業者が前身のホットドッグ屋台を始めたのが1941年。「In-N-Out Burger」は1948年。いずれもロサンゼルス近郊で誕生したハンバーガーショップで、ファットバーガーもほぼ同時期に同じエリアで生まれた店である。

  • ファットバーガープレス内覧会の様子
  • ファットバーガープレス内覧会の様子
  • 4月26日に開催されたプレス向けの内覧会の様子

創業者のLovie Yanc(ラビー・ヤンシー)は黒人の女性である。生活が決して楽ではなかった彼女は、大きなハンバーガーに何でもかんでも全て挟み込んで食べる贅沢を思い、「FATBURGER」という店名を付けた。日本でいえば、お金のない学生相手に大盛り・山盛りの定食をお腹いっぱい食べさせる、いわゆる「ドカ飯」系の食堂といったところだろうか。