作家・東野圭吾、といえば『秘密』『白夜行』などシリアスな作品が多く思い浮かぶが、実はコメディテイストの作品も多数存在している。今回実写化されたのは、本格サスペンスでありながら、ユーモアもバッチリの『疾風ロンド』。NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、『サラリーマンNEO』など、コメディの旗手である吉田照幸監督のもと、阿部寛、大倉忠義(関ジャニ∞)、大島優子などの豪華俳優陣が集まった。

作中では、ドタバタを繰り広げながらも、本格アクションや疾走感のある展開で真相に近づいていくこととなった3人。撮影中のエピソードや、お互いの印象、そして作品について話を聞いた。

左から阿部寛、大島優子 撮影:西田航(WATAROCK)

撮影地に溶け込んでいた

――豪華な俳優さんが集まっていましたが、撮影中に「この人のこんな意外な部分があった」というところはありましたか?

阿部:雪山での撮影(野沢温泉)が主で、僕は1~2週間遅れて撮影に合流したんですが、それまでにみなさんが現地の人と仲良くなっていたのが驚きでした。大島さんに至っては、公共温泉を知り尽くしていましたし、気後れしながら現場に入っていきました(笑)。

全員:(笑)

阿部:今年は暖冬で雪の量が例年より少なかったらしいんだけど、地元の方の協力もあって、あんな映像は見たことないというくらいのスピード感あるシーンが満載で、うれしかったです。

――大島さんはいかがでしたか?

大島:大倉さんは、いつも寝ていらっしゃるなという印象です(笑)。2人のシーンが多かったのですが、休憩中はほとんど寝ていたような気がします。暗くなると撮影ができないので、だいたい夕方に終わっていましたが、それからは地元の方のお店に行ったりしていたみたいです(笑)。

阿部さんについては、私は早く野沢温泉に滞在していたので、地元の方とご飯を食べたり、公共風呂に行ったり既に馴染んでいる感覚が自分でもあったので、「阿部さんはどうやって過ごされるのだろう?」と考えていたんです。でも、実際に阿部さんと一緒に食事に行かせていただいたり、一度公共風呂を見に行かれたというお話を聞いたので、安心しました。

阿部:いや、あそこに入ったって考えられない! もう6畳くらいの脱衣所と温泉だけで、開けた瞬間に地元の人が見てて(笑)。よく入ったなと思いましたよ。

大島:見られますよね。阿部さんって私生活もわからないし、イメージもできないですし、どういう方なのか未知だったので、来られるまでに想像をいっぱいして、楽しんでました(笑)。

阿部寛のシリアスとコミカルな面

――大島さんはかなり観察されていたんですね。大倉さんはいかがでしょうか。

大倉:大島さんはよく食べる人ですね(笑)。地元の方にすぐ愛されていて、人を惹きつける魅力がある人なのかな、と思いました。

阿部さんはもうテレビの中で存在している人で、シリアスな役もコミカルな役も見ていたので、「コミカルな方だったらいいな」と思っていました。実際撮影に入ったら、どちらの面も見ることができましたね。最初会った時は緊張してたんですが、そんな中、真面目な顔で阿部さんが穴に落ちるというシーンの撮影で、たまらなかったです。笑いが我慢できなかった。あれが初日って、撮影シーンを選んで欲しかったです(笑)。

――シリアスな部分はどういったところでしたか?

大倉:現場で作り上げていく中で、細かいディテールを監督とお話されていて、こうやってストイックに作りあげていくんだなと見させていただきました。いろんなお話聞かせていただきましたし、コミカルな面も見せていただききました。