宇都宮孝明プロデューサー(東映)

武部:このような例も含めて「仮面ライダー」の商品展開の方はフォーマットが固定化していない分、臨機応変なやり方でやっていますね。

西澤:安定のパターンがある中で、バリエーションの面白さを打ち出していく「スーパー戦隊」に対して、「仮面ライダー」の商品は毎年がらっと印象を変える作品を心掛けています。

宇都宮: 「スーパー戦隊」はマイナーチェンジ、「仮面ライダー」はフルモデルチェンジだね。

中野:「仮面ライダー」の方が、アグレッシブなことに挑戦ができるという感じですね。「スーパー戦隊」の場合は、40年近い歴史や様式美のようなものがありますし、外してはいけない要素を守りつつ、新しいことをやる難しさはありますが。

――新しいことに挑戦するのは、心配の声もあるのでは?

宇都宮:偉い人たちが反対するくらいのものが、うまくいくものだと思います(笑)。

中野:固定観念から来る心配は、必ずありますよ。

武部:ライダーの名前についても心配はあったでしょう。「グリドン」って何だと(笑)。

西澤:言われましたよ! 「グリドンで本当にいいのか」と(笑)。でも、出してみたらみんなから愛されるキャラクターになってくれました。

武部: 「グリドン」については、バンダイさんの中で西澤さんにがんばっていただいたので、東映サイドにはそういった懸念や心配の声は聞こえてきませんでした。

宇都宮:やはり、中野さんや西澤さんのような若い方がリーダー職につかれているというところが、バンダイさんの強みだと思います。上の人が反対しても、俺たちがいいと思ったことは通す、というような。

武部:そうですね。この案件は上からNGが出てひっくり返りました、なんていうことは全然ありませんでしたから。

宇都宮:やはり玩具の会社だから、柔軟な発想を持った若い人材が力を発揮できるポジションに就いている。そういうところがすごい。

――「仮面ライダー」「スーパー戦隊」の商品展開で、これは外してはいけないという、企画時のポイントなどがありましたら教えてください。

中野:今ならiPadやスマホなど、子供が憧れる大人の持ち物をアレンジし、商品化できればと考えています。

西澤:最先端の流行を追う、というのではなく、想像の半歩先を行くような、大人がみんな持っているもの、世の中に多く存在するものを題材にしたいです。

武部:大人の持ち物で、子どもが実際に触らせてもらえないもの(笑)。『電王』の時の『ライダーパス』なんていうのも、電車に乗るときに用いるタッチ式ICカードですもんね。