番組チーフ・プロデューサーの鶴谷邦顕さん

これまでの世界遺産紹介番組とはひと味違った新番組『世界遺産への招待状』が、この春、毎週月曜日の22時よりNHK総合テレビでスタートする。3月30日に放送される第1回目の「Travel1 オーストラリア 砂の楽園発 地球の地球の中心行」の試写後、番組チーフ・プロデューサーの鶴谷邦顕(つるや くにあき)さんに単独インタビューを行った。

世界遺産と旅の魅力を

──番組、楽しく拝見しました。これまで世界遺産を取り上げた番組は、ひとつの遺産をじっくり見せるスタイルが主流だったように思いますが、今回は4カ所を取り上げていますね。

鶴谷「NHKでもさまざまな番組を通じて世界遺産を紹介してきましたが、この新番組ではひとつの国や地域で、2件から5件ほどの世界遺産を訪ねます。いくつかの遺産を訪ねることで、それらに共通したことや違いなどが見えてくるのではないか、というのが狙いです。これまでとは趣の異なった、世界遺産のもうひとつの楽しみ方を、視聴者のみなさんに伝えたいと思っています」

──番組の展開もとてもテンポがよくて、躍動感があり、斬新でした。

鶴谷「オーストラリアの場合は広大な範囲を見せる必要があったので、何百キロ、何千キロ疾走感をだすほうが大陸のスケールを感じられると思い、そういった演出を強めました。第2回以降は、フランス、グアテマラ/ホンジュラス、ギリシャ、そしてアフリカのマリ……を予定していますが、またそれぞれ違った展開になると思います。どのような映像、構成にするのか、現地で議論に議論を重ねて作り上げています」

ウルルは一般的に「エアーズロック」の名で知られる巨大な一枚岩

世界的にも有名なオペラハウス

──番組として共通しているのは、視聴者が「旅人」の目線、つまり実際に旅をしているような気持ちで楽しめるということですね。

鶴谷「まさにそうです。リポーター役はいません。実際の旅では、歩くのはもちろん、ふと何かに気を引かれて立ち止まったり、少し戻ってみたりすると思いますが、そのリアルな旅の感覚を大切にしています」

──「プレゼンター」や「語り」も魅力的でしたし、音楽もたいへん印象深かったです。

鶴谷「タイトルにある『招待状』の差出人、いわばプレゼンターとして、女優の真矢みきさんに声の出演をしていただいています。実は単発の出演予定だったのですが、ご本人が無類の旅好きということで話がとんとんと進み、レギュラー出演されることがほぼ決まっています。語りの腹筋(ふっきん)善之介さんは、NHK連続テレビ小説『オードリー』にも出演されていた役者さんで、脚本や演出もこなす方。とてものびのびとした語り口は、視聴者のみなさんにも気に入ってもらえるものと確信しています」