元号が変わっても、例年通りだった夏の暑さ。まだまだ蒸し暑さが残るこの時期は、背筋がゾクっとなるような漫画が読みたくなるもの。幽霊はもちろん、人間の闇を描いた作品も火照った体をスっと冷やしてくれる。
今回は話題の作品から不朽の名作まで、要チェックなホラー・サスペンス漫画をご紹介。6つのホラー・サスペンス漫画を読んだ後は、夏の暑さが恋しくなるだろう。

『惡の華』

  • 『惡の華』(C)押見修造/講談社
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描かれているのは学生の恋心なはずなのに、なぜか怖い……。本作は“背徳的純愛ストーリー”という、斬新な青春漫画。主人公は、フランスの詩人・ボードレールを愛する文学少年の春日高男。彼はある日、放課後の教室で大好きな佐伯奈々子の体操着を盗ってしまう。すると、それを目撃していた嫌われ者の同級生・仲村佐和から、自らの奴隷になるよう契約を持ちかけられ……。

  • 『惡の華』(C)押見修造/講談社

ほんの些細なきっかけでガラリと変わる高男の人生や、現実社会の閉塞感に自我が押しつぶされていく学生たちの姿は圧巻。思春期ならではの背徳感の先には、不気味な恐怖が待ち受けている。

  • 『惡の華』(C)押見修造/講談社

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

ちょっとしたきっかけで、それまでの自分からどんどん外れていってしまう。外れない人から見たら、それは自分で選んだ結果=必然ですが、外れる人にとっては巡り合わせなんですよね。(paopaoさん)

一歩間違えば、恋心は残酷4な恐怖を呼びこむことだってある。本作は、なにげない選択によって日常は残酷にも変化する、そんな可能性を孕んでいると教えてくれるのだ。

  • 『惡の華』(C)押見修造/講談社


『ホームルーム』

  • 『ホームルーム』(C)千代/講談社
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コミカルな出だしから一転、またたく間に恐怖が訪れるのが本作の醍醐味。主人公の女子高生・幸子は毎日クラスでいじめられているが、ピンチになると担任の愛田がいつも助けてくれるため、心強く思っていた。しかし、そんな正義のヒーローには裏の顔が……。なんと、愛田は夜中にこっそり幸子の部屋に忍び込む変態ストーカーだった。

  • 『ホームルーム』(C)千代/講談社

愛田の下心はさらに暴走し、読者を凍りつかせる。本作を手に取ると、巷で話題の「正義のヒーロー」にも疑惑の目を向けてしまうかもしれない。

  • 『ホームルーム』(C)千代/講談社

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

まさかそういう結果になるなんて……って感じで所々恐怖を感じますがどうなってくんだろうというワクワクもある漫画です!(がまんづよい達人さん)

サイコな愛田だけでなく、徐々に明らかとなる幸子の本性にも注目。人の優しさや恋心の裏には、ゾっとする下心が潜んでいる。

  • 『ホームルーム』(C)千代/講談社


『カラダ探し』

  • 『カラダ探し』(C)ウェルザード 村瀬克俊/集英社
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いつの時代もまことしやかに囁かれる怪談話は、私たちを恐怖の底に突き落とす。物語の肝となるのは、うさぎのぬいぐるみを探して彷徨う“白い服を着た少女の霊”の話。「赤い人」と呼ばれるその少女に遭遇してしまった人は体を八つ裂きにされたあと、校舎に隠され、みんなに自分の体を探してほしいと頼むという。

  • 『カラダ探し』(C)ウェルザード 村瀬克俊/集英社

  • 『カラダ探し』(C)ウェルザード 村瀬克俊/集英社

そんな怪談話が現実になったとき、平穏な日常は豹変。「赤い人」はホラー漫画によくある“呪い”ではなく、物理的な方法を駆使して登場人物たちを惨殺していく。人間ドラマや心理戦も入り混じる恐怖の「カラダ探し」は、手に汗握る展開になっていくのだ。

  • 『カラダ探し』(C)ウェルザード 村瀬克俊/集英社

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

時々本当にぞくっとくる絵があって怖いです。それでいてただ怖いだけの話ではなく、人間関係にも重点が置かれているのでちゃんと面白いです。(まりもさん)

愛と友情をテーマにした本作は、生きる意味を考えるきっかけにもなる味わい深いホラー漫画。人間の怖さを反映したかのような作画だけでも、ゾクっとさせられてしまう。

  • 『カラダ探し』(C)ウェルザード 村瀬克俊/集英社


『黒鷺死体宅配便』

  • 『黒鷺死体宅配便』(C)OTSUKA Eiji Jimusyo 2019 (C)Housui YAMAZAKI 2019
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仏教系大学に通う唐津九郎は、大学4年生なのに就職先が決まらない。そんな時、ひょんなことから同じ大学に通う佐々木碧が主宰する「ボランティア友の会」に参加することになった。その会には特殊な能力を持つ学生が集まっており、九郎自身も死体に触れると死者の声を聞くことができる特殊能力者。そこで、彼らは会を母体とし、無念の死を遂げた死体を探し出しては願いを聞き、望みの場所に届ける非合法の「黒鷺死体宅配便」を立ち上げることにした。

  • 『黒鷺死体宅配便』(C)OTSUKA Eiji Jimusyo 2019 (C)Housui YAMAZAKI 2019

全編、死体だらけな本作は1話完結型。バッドでもハッピーでもない、ビターエンドな結末が多いからこそ、見応えがある。

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

面白いです。死者それぞれに思い残しがそれぞれあって、でも死者の声は断片的にしか聞けない。そこから推理して真意を読み解く、その過程がすごく上手く描いてあります。(週末パティシエさん)

人の死が多面的に描かれている本作は、どんな人生の終焉を迎えようかと考えさせられる一冊。生の大切さを噛みしめる機会にもなるだろう。

  • 『黒鷺死体宅配便』(C)OTSUKA Eiji Jimusyo 2019 (C)Housui YAMAZAKI 2019

【キャプション】『黒鷺死体宅配便』(C)OTSUKA Eiji Jimusyo 2019 (C)Housui YAMAZAKI 2019


『東京伝説』

  • 『東京伝説』(C)平山夢明 烏山英司/講談社
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実写映画が話題の『ダイナー』を手がけた平山夢明氏の『東京伝説』は、斬新な設定が光るホラー漫画。編集者の阿川保奈美は謎の少女・不識誘からTOKYOの闇に潜む“狂気”を蒐集・編纂し、東京伝説を綴ることを命じられた。

  • 『東京伝説』(C)平山夢明 烏山英司/講談社

それ以来、保奈美の周りでは不可解な事件が起き、時には怪人に脅かされることも……。果たして、絶対服従の奴隷となった保奈美が東京に潜む狂気を暴き出したとき、世界はどのような闇に包まれるのだろうか。

  • 『東京伝説』(C)平山夢明 烏山英司/講談社

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

スプラッタホラーですがグロいだけでなく先が気になる展開です。誘様の過去が気になる……(dioさん)

様々な異常者が巻き起こすグロテスクな展開からは、目が離せない。つい、この世にはまだ自分の知らない世界があるのでは……と思わされてしまう。

  • 『東京伝説』(C)平山夢明 烏山英司/講談社


『ゼロから始める事故物件生活』

  • 『ゼロから始める事故物件生活』(C)奥香織 松原タニシ 松竹芸能/小学館
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お笑い芸人・松原タニシさんの「事故物件」での生活を漫画化したもの。オーブ(写真や動画などを撮影した際に映る、小さな円形の球体)の大量発生や突如鳴り響くラップ音、謎の人影など、松原さんが事故物件で体験した出来事は「気のせい」という言葉では片付けられない。

  • 『ゼロから始める事故物件生活』(C)奥香織 松原タニシ 松竹芸能/小学館

この世には、死者が残した怨念がうごめいているのだ。もしも、こんな物件に住んでしまったら……と考えると読者の背筋は凍ってしまう。「幽霊なんているわけない」と思っている方も、これを読めば考えが変わるかもしれない。

  • 『ゼロから始める事故物件生活』(C)奥香織 松原タニシ 松竹芸能/小学館

▼レビュアーが推す「ここ怖POINT」▼

心霊の面からと、物理の面からの恐怖でゾッとしました。幽霊も元々は生きていた人間なわけですから、やはり生きている人間が怖いのだなぁ。 (bonnyさん)

「事故物件住みます芸人」として人気を博している松原さん。彼が目の当たりにしてきた怪奇現象の凄さは、想像以上だ。彼と同じような思いをしてもなお事故物件に住む勇気がある人はどれだけいるのだろうか、と考えてしまう。

  • 『ゼロから始める事故物件生活』(C)奥香織 松原タニシ 松竹芸能/小学館


今回ご紹介したホラー・サスペンス漫画は、寝苦しい夜のお供にもおすすめ。令和初めての残暑は、面白い作品を片手に背筋を冷やしながら乗り切ってみよう。

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