新宿、大学生と同時に東京へ上京してから23区で最も多く行ったことのある地である。そんな新宿の西口方面に力強い文字で書かれた暖簾が目印のラーメン屋が「俺の空」だ。

  • 新宿「俺の空」の掛け節そば(写真:マイナビニュース)

高校生の冬、画面越しに憧れ、熱を持ったバンド。東京で開催されたライブに初めて行った帰りに立ち寄ったラーメン屋が「俺の空」だった。

会場の熱気と興奮の余韻が冷めないようにと、熱々のラーメンでその熱を維持しようとしたのだ。暖簾をくぐった先に見えた券売機。「俺の~」シリーズが推しメニューなのだろうか。

当初のわたしは、ミーハーなので推しメニューに目を惹かれた。しかし、「いや……『俺の』でもない『あの娘の』でもない『君の』でもない『私の』ラーメンとして独占したいんだ」と、実によく分からない意地を張り「掛け節そば」を注文した。オーソドックス日和。

完全にあの頃を再現すべく、今回はお酒は頼まずあの時の味を堪能することに。

大きめの器の中には、とろっとろに煌めくスープ。湯気と共に魚介豚骨の濃厚な香りが立ち昇る。

「ごくり。」

細かくほぐされたチャーシューは女性でも食べやすいだろうなぁと思いながら箸を取る。

麺を持ち上げると、絹のような滑らかさと上品な質感に驚かされる。

あのバンドの歌声も、優しく淡い青春を歌い上げていたなと思い出に浸る。もう一度スープに麺を浸してから、一気にすする。

  • 新宿「俺の空」の掛け節そば

細く繊細な麺はすすり心地もよく、スープともよく絡まり絶妙なバランスだ。温かい。

レンゲ並々にすくったスープには、細かく刻まれた玉ねぎも息を潜めている。

すっと口の中に入れると、綺麗な魚介豚骨の風味が私を染め上げていく。うまい。

細かくほぐされたチャーシューも食べた瞬間に、盛り付けとしては主張されていなかったが、これは助演男優賞もらえる味だなと確信した。ラーメンのスープでくちびるを湿らせ、あのバンドの青い青春感を思い出した。

他にも、おすすめメニューとして「和え節そば」という油そばもある。この油そばには、レモンの爽やかな酸っぱさとタバスコのピリッとした辛さを合わせた「レモスコ」をかけて楽しむ。

このアクセントは口の中で弾けて最高のレモスコ感覚を味あわせてくれるので余談であるが、よかったらぜひ。

酒村ゆっけ(さかむらゆっけ)

ネオ無職を全うする飲兵衛(酒好き)でありながら文字を書くひと。好物は、角ハイと麺類。趣味は映画と本を見て読むこと。

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