2日、MLBワールドシリーズの第7戦が行われ、ロサンゼルス・ドジャースがトロント・ブルージェイズとの延長11回に及ぶ激戦を制し、球団史上初の連覇を達成した。シリーズMVPに山本由伸が選出されたほか大谷翔平、佐々木朗希を含む日本人3選手が活躍したこともあって、終了後の今なお各メディアが関連報道を続けている。

これで日本のNPBに続いてアメリカのMLBも全日程が終了。15・16日に『ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vs韓国』(15日テレビ朝日系、16日TBS系)こそあるが、来春のWBCに向けた強化試合に過ぎず「今年の真剣勝負は終わった」と言っていいだろう。

ここで今年の締めくくりとして振り返っておきたいのはワールドシリーズの放送について。今年はNHKが放送を担当したが、その内容は賛否の声が二分された。昨年放送を担ったフジテレビとの違いや、日本シリーズの中継なども含めて、その功罪をテレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

  • NHK放送センター=東京・渋谷

    NHK放送センター=東京・渋谷

放送前からNHKへの賛否があった

まさに最終決戦であり、大谷が投手として先発登板した第7戦の2日朝、ネット上には不満や怒りがあふれていた。

その多くは「なぜ総合テレビで放送しないのか」という声。しかも「さすがに今日はひどい」「これを放送しないで受信料を取るのか」「日曜だから放送していたら視聴率何パーセント取れたのだろう」などの強烈な否定が多かった。

NHKが放送をNHK BSのみに留め、総合テレビで行わなかったのは第7戦だけではない。放映権を持っていながら、視聴者が限定されるNHK BSに留めたことが怒りにつながっているのは間違いないだろう。NHKが総合テレビで生放送したのは、第1戦・第4戦・第5戦・第6戦の計4試合。第2戦・第3戦・第7戦はNHK BSのみだった。

そもそも今年の放送がNHKとわかったとき、ネット上には「実況も解説もNHKのほうがいい」「CMがなくて見やすい」などのポジティブな声と、「もしBSしか放送しないのなら民放に譲るべき」「サブチャンネル切り替えは画質が下がるし、録画失敗があるからやめてほしい」などのネガティブな声に二分されていた。

とりわけNHK BSの放送が見られない人にとってNHKの編成は論外。ワールドシリーズの放送はNHKと民放が持ち回りで行っているが、「民放に譲れ」と言いたくなるのは当然かもしれない。

もともとNHKは配信も「TVer」ではなく別アプリの「NHKプラス」が必要だった上に「NHK ONE」への移行を求めるなどユーザーファーストとは言い難いところが多々見受けられる。どんな局内の事情があったとしても、ユーザビリティの適正化が当然のように求められる今、ドジャースの連覇で盛り上がる一方で、NHKが株を下げた感は否めない。