「自分の仕事がいっぱいなのに、明日の10時までの仕事を上司に振られる」

20代の私が特に苦手だったのは、こういう場面でした。

私だけが困っていたのかと思っていたら、「こういう時は、どうしたらいいのでしょうか?」「私はNOと言えなくて……。いつもYesと言ってしまって……もう嫌です!」と、今の若手社員からも、研修の中で同じような叫びを何度も何度も聞いています。

  • 上司からの頼まれごとで悩んでいませんか?

上司も自分も幸せになるには

20代の私は、このような場面では、いつも「2択」で考えてしまいました。つまり、「受ける」か「断る」かです。このように2択で考えている限り、実は絶対に「Win-Win」にはなりません。

受ければ、「自分が負けて上司の勝ち」ですから、「Lose-Win」です。断れば、「自分は勝ちで上司は負け」ですから、「Win-lose」です。現実的には、相手は上司ですから、「No」と言えないので、渋々「Yes」と言って引き受けてしまうケースが多いのだと思います。

自分が納得していればいいのですが、最悪なのは、「Yes」と言っておきながら、陰で「かわいそうな俺……」と自己憐憫に浸ったり、「まったくひどい上司だ!」などと上司を加害者にして、自分が被害者だと思ったりするケースです。

上司の立場に立って考えてみてください。「Yes」と言って引き受けておきながら、陰で勝手に被害者面する部下を、フェアだと思うでしょうか? 厳しいようですが、「No」と言わない限り、相手には伝わらないのです。

たくさんの選択肢を考え、柔軟な交渉を心がける

「そんなこと言われたって……。では、『No!』を上司に突き付ければいいのですか!?」となりがちです。そうではなく、かつての私のように「Yes」か「No」かの2択で考えるのが間違いなのです。

このようなケースには、ほんとうに2択しか選択肢はないのでしょうか? 他の選択肢がないか、少し考えてみましょう。

「10時は難しいですが、12時までだったらできます」
「ひとりでは厳しいですが、何人かのサポートを付けていただけたら可能です」
「私が抱えている仕事を、他の方に振らせていただければ、できるのですが」
「○○部からの依頼の仕事を抱えています。(上司の力で)○○部に締め切りをもう2日伸ばしていただければ、その仕事も対応できます」

少し考えれば、このように、選択肢はたくさんあるのです。仕事ができる人は、「選択肢の多い人」。常に切れるカードをたくさん持っている人の方が、豊かなゲームができるのです。

繰り返しになりますが、2択で考えている限り、それは「白か黒か」「100かゼロか」ですので、「勝ち」と「負け」に分かれ、Win-Winにはなりません。

選択肢を広げれば、「100と100」にはならないにしろ、「80と70」といった、どちらにも幾分かの「勝ち」がある、Win-Winで着地する可能性が出てきます。

上司にNoと伝える方法

それでも、どうしても「No」を言わなければならないときはどうしたらいいでしょうか。

「その仕事を受けると、私が困ります」。このように断られたら、あなたは嬉しいですか? 少し自分のことを後回しにされたような、軽んじられたような不快な気持ちを感じる人もいるのではないでしょうか。

ですから、このような、「私がYesと言うと、私が負けるから」といった言い方はあまりオススメしません。

「その仕事を受けてしまうと、私が抱えている仕事が1日遅れ、得意先のA社を怒らせ、上司にもご迷惑をおかけします……」。このように、「私がYesと言うと、"あなたが(も)"負けるから」と言った方が、つまり「相手の勝ち」を配慮した言い方の方が、相手は受け取りやすいかもしれません。

筆者プロフィール: 堀田孝治

クリエイトJ株式会社代表取締役
1989年に味の素に入社。営業、マーケティング、"休職"、総務、人事、広告部マネージャーを経て2007年に企業研修講師として独立。2年目には170日/年の研修を行う人気講師になる。休職にまで至った20代の自分のような「しなくていい努力」を、これからの若手ビジネスパーソンがしないように、「7つの行動原則」を考案。オリジナルメソッドである「7つの行動原則」研修は大手企業を中心に多くの企業で採用され、現在ではのべ1万人以上が受講している。著書『入社3年目の心得』(総合法令出版)、『自分を仕事のプロフェッショナルに磨き上げる7つの行動原則』(総合法令出版)他。