新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、政府や民間企業の対応も刻一刻と変わっていっています。電通や資生堂など、感染抑止に向けて社員を在宅勤務させるなど、出社させない対策を講じている企業も出てきていますが、すべての企業がそうであるわけではありません。

今後の展開が読めないなか、自分や家族の健康を守るには、自分自身が細心の注意を払いつつ、予防に徹底するしかないのかもしれません。そこで、出社自体を拒否した場合、どんな状況になることが考えられるのでしょうか?

  • 新型コロナウイルスの感染が心配、出社を拒否することはできる? ※画像はイメージ

感染拡大防止に向けた政府の対応

新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、政府は2月26日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開きました。全国的なスポーツや文化イベントの中止や延期、規模縮小の要請を発表しています。

各自治体もイベントを相次ぎ中止、学校の臨時休校を実施したり、国税庁は確定申告期間を4月16日まで1カ月延長したりするなど、日本中でさまざまな対策がとられています。

咳エチケットや手洗い、うがいの徹底など、国民一人ひとりの協力も要請し、企業活動についてはテレワークや時差通勤などを推奨しています。とはいえ、在宅勤務や時差通勤もあくまで企業側の自主的な判断に委ねるものとし、強制するものではありません。

つまり、現時点においては、企業が在宅勤務を命じない限り、従業員は雇用契約上の義務として出社をする必要があります。

もしも出社を拒否すると、雇用契約上の労働提供義務に違反することになってしまい、欠勤扱いとなることが考えられます。通常欠勤扱いとなると、欠勤日数分の賃金が不支給になります。

また、就業規則のなかで欠勤に伴う懲戒処分が規定されている可能性もあり、従業員にとってさまざまな不利益が生じることが考えられます。

柔軟な働き方について会社と相談を

一方で、コロナウイルスの感染経路を特定することはできないとはいえ、仮に出勤や通勤をすることで従業員が感染し、働けない状態になる従業員が増えてしまえば、企業活動のスローダウンも考えられます。その状態が長引けば、後々経済的に大きなダメージとなって跳ね返ってくることも想像できます。

企業と従業員双方がこれら雇用契約上、健康上、事業活動上などのトラブルを生じることなく、業務を進めていくためには、従業員の感染不安を最小限にとどめ、業務に取り組める環境を作ることが求められそうです。

このような状況のなか、従業員が誠意を持って取り組めることといえば、突然出社拒否をするのではなく、在宅勤務で働けないか、まずは会社に相談してみることでしょう。このような現状ですから、これまでテレワークや時差通勤、フレックスタイム制などの制度が導入されていない職場でも、検討を始めてくれるかもしれません。

それでも通常どおりに出社しなくてはならない状況であって、どうしても出社したくないという場合には有給休暇を申し出ることも1つの方法です。

ただし、たとえば同じ職場内に多数の有給休暇申し出者がいるなど、事業の正常な運営ができなくなるような場合、使用者には時季変更権(他の時季に変えてもらう権利)が認められます。希望どおり絶対に休めるとは限らないことも知っておきましょう。

コロナウイルス感染症が今後も拡大していくかどうか、終息までにどのくらいの期間を要するのかは今後も注意深く情報を追っていくしかありません。その中で、自分や家族を守りつつ、円滑に働くことができるための対策を会社とともに考えていってください。

著者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
ファイナンシャルプランナー(CFP)

生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢見て退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに--。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動している。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金の(学び場)」を無料開講中!