メールは「いつでも送れる便利なツール」ですので、細かい依頼や込み入った説明でも、メールで行うことが多いのではないでしょうか。仕事でメールを使っている人の悩みとして「メールの本文が長くなってしまう」という声をよく耳にします。

メールが長くなってしまう理由

メールが長くなってしまう理由はいろいろ考えられますが、そのひとつ「複数の事柄を1つのメールで伝えたい」という場合に、文章が長くなってしまう傾向があります。

例えば、次の文章を見てみましょう。

この文章では、全部で「5つ」の内容を伝えています。でも、パッと読んだときに「いろいろお願いされていたな」ということはわかるのですが、何をお願いされたのかは、整理しないとわかりにくいですね。一読で理解できない文章は、読み手にストレスを与えてしまいます。

ここからは上記の文章を使って、複数の事柄について伝えたいメールを、より「わかりやすいメール」にするためにはどうすればよいか、具体的な書き換えの方法について、順を追ってご紹介します。

伝えたい内容ごとに、グループに分ける

まず、複数の伝えたい内容を、種類別にグループに分けます。

グループごとにタイトルをつける

次に、各グループの内容は何を伝えたいのかすぐにわかるように、グループごとにタイトルをつけます。このとき、タイトルをつけたことによって、不要になった言葉は削除します。タイトルをつけると「ここから下は、事柄Aについての話だな」とすぐにわかるので、内容にスッと入っていくことができます。

「読点(、)」を「句点(。)」に変更して文章を分割する

1つの文章で1つの事柄だけを伝えられるように、「読点(、)」を「句点(。)」に変えます。よく言われる「一文一義」ですね。このとき、よけいな接続詞を除外したり、文末を修正したりするなど、「句点(。)」までが意味の通じる1つの文章になるように文章を変更します。

記号や罫線で読みやすくする

より相手にわかりやすい印象を与えるために、記号や罫線を活用し「見た目」を変更します。このとき、内容が変わるところで空白行を1行追加すると、区切りが明確になり、さらにわかりやすくなります。

重なる言葉を除外する

最後に、もうひと工夫を加えます。例題のメール内容は、お願いしたいことがほとんどです。このような場合は下記のように最初にひとこと加えることで、繰り返されている「~してください」や「お願いします」という言葉を省くことができます。

いかがでしたか? 「複数の事柄を1つのメールで伝えたい」ときは、今回のように文章を整理していくことで、長い文章もわかりやすく書き換えることができます。ぜひ、実践してみてください。

茨木ち江

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師
大手企業様や官公庁様等で、WindowsやWord、Excel、Access、VB等の集合研修講師経験を経て、平成11年10月に株式会社グッドフィールドアンドカンパニー入社。外資系企業様で、3年間常駐ヘルプデスクとして勤務後、業務推進部に異動し、業務フローやフォーマットの作成など、社内文書の定型化と業務の可視化に貢献。実施していなかった中途社員研修を体系化し、必要なテキストや資料の整備と講師を担当。現在は中途社員研修を後輩に引き継ぎ、“わかりやすい文章表現"“わかりやすい説明"をモットーに、社員だけでなくお客様にも「ビジネスメールコミュニケーション講座」や「【Excel】ミスや情報漏洩を防ぐフォーマットを作成するコツ講座」などの研修を行いながら、新しい研修サービスの企画、実施に取り組んでいる。お客様から頂いた「説明時の機転の利き方がさすが」という言葉が宝物。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に28冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。