• 『The Unseen Beauty』プロジェクトの作品

    『The Unseen Beauty』プロジェクトの作品

――AI映像を作り続ける中で、改めて感じていることはありますか?

僕の中で、AIはあくまで人間の表現を引き立てるための道具で、実写とは別の「AIなんとか」みたいな新しいジャンルを作り上げていきたいなと思っています。

――最近、まったく新しい取り組みもスタートされたそうですね。

視覚障害のある方々と一緒に作ったプロジェクトです。『The Unseen Beauty』というプロジェクトで、全盲の方4名が映像監督となって、音から広がるイメージを生成AIで映像化したミュージックビデオを作りました。コラボしたのは、楽器を一切使わず声だけで音楽を表現するヒューマンビートボックスクルーのSARUKANIで、世界大会チャンピオンの3人組なのですが、「音から世界を作る」というアプローチが今回のテーマとすごく合っていて。楽曲はSARUKANIの「CROWN」をアレンジした「CROWN(Water Remix)」で、4月8日から公開しています。

――どのように制作を進めたのですか?

参加された方々に音を聞いてもらって、そこから広がるイメージを言葉で話してもらい、それをもとに映像を作っていくんです。「水」をテーマにしたんですけど、水ってなければ死んでしまうし、恐怖にもなる。波や流れや循環、いろんな意味合いがあるじゃないですか。それぞれの方が感じた「水の世界」を言語化してもらって、その言葉を僕がプロンプトに落とし込んで映像にしていきました。見えていない世界だからこそ生み出せるものがあると感じましたし、彼らが頭の中で思い描いているものにどれだけ近づけられるかということに、ものすごく向き合った制作でした。

――完成してみてどうでしたか?

一番うれしかったのは、参加してくださった全盲の方が「自分でもAI動画を作り始めました」と言ってくれたことです。この仕事をやっていて本当によかったと感じた瞬間でしたね。AIは、今まで物理的な制約でできなかった表現を可能にするツールでもある。視覚に頼らなくても、言葉と感性さえあれば映像が作れるということが、少しでも伝わったならうれしいです。

  • 『サバ缶、宇宙へ行く』より ※CGなども組み合わせて制作 (C)フジテレビ

“AIの魔術師”がいま、テレビの現場にいる理由

――ご自身が影響を受けたテレビ番組は何でしょうか?

バラエティなら『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ)、ドラマなら堤さんの作品ですね。『池袋ウエストゲートパーク』は何十回も見返しているくらい大好きで、髪型も窪塚洋介さんを真似ていたくらい影響を受けていました(笑)。あとは「日曜劇場」(TBS)のような人間ドラマも大好きです。

――宮城さんご自身、もともとテレビっ子だったとか。

そうなんです。ドラマも全部テレビで見てきた世代なので、逆にテレビを盛り返すための何かをやりたいという気持ちが強くあります。「テレビを見ない」というのがムーブメントみたいになっているような時代感もありますけど、面白ければ結局見るんじゃないかと思っていて。そこにAIがどう絡めるかを、今いろいろ試している感じです。

――AIクリエイティブディレクターとして参加されたGP帯連続ドラマとして、日本テレビ『月夜行路 -答えは名作の中に-』と、フジテレビの『サバ缶、宇宙へ行く』が、現在まさに放送中です。

『月夜行路』は文学をテーマにした作品なので、古き良き風の解説映像のような形でAIを使っています。

『サバ缶、宇宙へ行く』は宇宙が絡むシーンなどを作っています。実写では難しい素材はAIが得意とするところです。ただ今回は「AIを使いました」と大々的に打ち出しているわけではありません。その上で視聴者の方がどう受け取るのかという反応が気になっているところです。「CGかな」と思われるのか「AIかな」と思われるのか。ちょっと実験的な感覚で見ています。

――最後に、宮城さんがいま気になっている「テレビ屋」を教えてください。

やっぱり先ほど挙げた読売テレビの汐口武史プロデューサーです。話せば話すほど面白い方で、テレビの企画の作り方の裏側みたいなものを教わりました。いろんな人に知ってもらえたらと思います。

  • 次回の“テレビ屋”は…
  • 読売テレビ(ytvメディアデザイン)・汐口武史氏