テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第79回は、12日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『超問クイズ!真実か?ウソか?横浜流星参戦!日テレ系夏ドラマ出演俳優大集合SP』をピックアップする。

同番組は、2016年5月のスタートから何度かのリニューアルを経て3年が経過。有吉弘行と桝太一アナの人気コンビによる安定感もあり、すっかり金曜夜の定番となった。

かつて日テレは『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』『マジカル頭脳パワー』などの国民的クイズ番組を手掛けていたが、2000年代以降は激減。それだけに「プライムタイム唯一のクイズ番組」にどんな意味があるのか興味深い。

しかも今回の放送は夏ドラマの番宣も兼ねているだけに、前回書いた『クイズ!ドレミファドン!』との比較も含めて掘り下げていく。

  • 『超問クイズ!真実か?ウソか?』に出演する(左から)桝太一アナ、有吉弘行、尾崎里紗アナ、劇団ひとり

■ジャンルの異なる4コーナーを用意

結論から言うと、特番であるにも関わらず、その構成は通常通りだった。

最初のコーナーは「クイズ手先が器用王決定戦」で、サイコロをピラミッドのように20段積み上げるバトルの勝者を当てるクイズ。8人の芸能人が、ドミノ並べのような繊細さと集中力を競い合い、「積み上げると崩れる…再び積み上げてもあと少しのところで崩れる」というシーンを繰り返して盛り上がった。しかし、スタジオも視聴者も「正解・不正解」で盛り上がるクイズの要素は薄い。

その後は、すべて最近の人気コーナーを放送。まずは「クイズ! あの最後を知らない」で、蒼井優の出世作である映画『フラガール』の劇中、「枯れかけたヤシの木をどう守った?」というクイズが出題された(正解はストーブで温めた)。2問目は“日本に住んでいる外国人ランキング”が紹介され、1人しかいないコモロ連合の男性が「机に置いている木の棒を何に使っているのか?」を出題(正解は歯ブラシ)。

次のコーナーは「クイズ! 芸能人警戒心検証」。検察庁偽サイト詐欺を再現して、EXIT・兼近大樹、丸山桂里奈、吉田明世のうち誰が引っかかるかを当てるクイズが出題された(正解は兼近と丸山)。

さらに、「500円玉貯金大調査クイズ」で、202人+芸能人の最高額を当てるクイズを出題。結果発表のシーンでは、「大量の500円玉を床にぶちまける」という人間の欲望に直結するような映像をローアングルやスローモーションで繰り返し流した(正解は137万8000円)。

ここで再び「クイズ! あの最後を知らない」に戻り、童謡「サッちゃん」の最後を当てるクイズを出題。“だけどちっちゃいから ????????”の空欄を「タレントに歌わせながら答えさせる」という動きのあるクイズを終盤に組み込んだ(正解は“ぼくのことわすれてしまうだろ”)。

最後は、「地価の最後…日本で一番安い土地はどこにある?」というフリのVTRを流したあと、あっけなく正解を発表してしまい、番組は終了した(正解は北海道勇払郡厚真町字軽舞280番。1㎡あたり480円)。

桝太一アナが「今週の超問キングに輝いたのは“日曜ドラマチーム”です」と発表したが、出演者も視聴者も「あっ、そうなの?」という感覚のみ。最初から最後まで正解数を競っている感も、豪華賞品を賭けて真剣な感もなく、クイズ内容と同様にあっさりしていた。

■「人気コーナーを作ること」が最優先

当番組も当初は2択クイズや早押しクイズなど、他局同様のクイズ番組らしさを前面に押し出したものだったが、徐々に企画重視の方針に変更。「番組内に人気コーナーを作って、その中でクイズを出題。飽きられたら、また新たなコーナーを作る」という“企画メインでクイズはサブ”の姿勢であり、大幅な変更は実に日テレらしい。

“企画メイン”になると、必然的に増えるのがタレントの数。この日は、進行役に有吉弘行、桝太一アナ、尾崎里紗アナ。クイズ解答者に『偽装不倫』から宮沢氷魚とMEGUMI、『ボイス 110緊急指令室』からYOUと増田貴久、『あなたの番です』から横浜流星と奈緒、ミキ、若槻千夏とゆきぽよ、森泉と麒麟・川島明、ガンバレルーヤ、羽鳥慎一と劇団ひとり。

さらに、「手先が器用王決定戦」にゴールデンボンバー・喜矢武豊、中川翔子、ギャル曽根、できたくん(芸人、オーディション勝者)、南海キャンディーズ・しずちゃん、片桐仁、獣神サンダー・ライガー、谷岸玲那(ギャルタレント、オーディション勝者)。「クイズ! 芸能人警戒心検証」にEXIT・兼近大樹、丸山桂里奈、吉田明世。「500円玉貯金大調査クイズ」にMAX・LINA、ハイキングウォーキング・鈴木Q太郎、りんごちゃん、高橋ユウ。

計34人が出演した(「手先が器用王決定戦」の予選敗退者を除く)。ドラマ番宣の6人に主演俳優がいないことからも分かるように、「質より量」のスタンスで多くのタレントを集めて楽しいムードを醸し出そうとしているのだろう。

だからこそ有吉のコメントは重要度が高く、「(ギャル曽根の)すっぴんは油揚げみたいな顔をしてるもんね」「(ライガーはマスクを)脱いだほうがいいよ!」「(うなじを見せるお色気サービスに)ありがたいね、しずちゃん!」「(ミキの)昂生くんはいつもボケのパンチが弱い」などの毒舌が冴え渡っていた。

■「華より実を採る」日テレの番宣

番組を見ながら、「日テレにおける“プライムタイム唯一のクイズ番組”にどんな意味があるのか?」と考えていたが、結局何も見つからなかった。

当番組におけるクイズの役割は、『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』『THE突破ファイル』『世界一受けたい授業』らと同等レベル。クイズの要素がほとんどなくなった『世界の果てまでイッテQ!』も含め、日テレにとってのクイズは「番組ではなく、コーナーを盛り上げる演出の1つ」に過ぎないのだろう。

『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』『マジカル頭脳パワー!!』が放送されていたころから20年が過ぎているから当然の感もあるし、その方針で世帯視聴率を獲得してきたのだから正しいのかもしれない。ともあれ、世帯視聴率で低迷するフジテレビが『ネプリーグ』『今夜はナゾトレ』『潜在能力テスト』『99人の壁』とクイズメインの番組を量産しているのとは対照的だ。

最後にドラマの番宣特番について触れておきたい。今回の放送は、3つのドラマから出演者を2人ずつ呼んでいたが、その内容に特別感はなく、通常放送とほぼ同じ。つまり、通常放送の中にドラマの出演者を入れた“ミニ番宣”という形であり、前述したように主演俳優が1人もいなかったこともそれを裏付ける。

もともと日テレは他局よりバラエティの番組数が多い。また、他局のように特番を乱発せず“毎週1時間”の放送を守っているため、「番宣できる回数が他局よりも多い」とも言える。「ドラマ番宣のための長時間特番をドーンと放送する」よりも、「たくさんの番組でこまめに番宣していく」という戦略であり、そのほうが視聴者の認知は高くなるのではないか。

前回書いた『ドレミファドン』とで人気俳優たちが本気のバトルを繰り広げる様子は、番宣特番らしい華があり、いかにもフジテレビらしいものだった。一方、「華よりも実を採る」という方針もまた、いかにも日テレらしいものであり、カラーの違いがテレビの多様性を担保している。

■次の“贔屓”は…マツコ&吉村崇でレギュラー化へ!? 『50日間で女性の顔は変わるのか!?』

吉村崇(左)とマツコ・デラックス

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、21日に放送される日本テレビの単発バラエティ番組『サンバリュ 50日間で女性の顔は変わるのか!?』(13:15~15:00)。

『サンバリュ』は2006年10月から放送されている日曜午後の単発特番バラエティ枠(当初は『サタデーバリューフィーバー』の名称で土曜午後に放送)。もともと日テレのスタッフたちが選りすぐりの企画を持ち込むチャレンジ枠だけに、これまで『密室謎解きバラエティー脱出ゲームDERO!』『解決!ナイナイアンサー』『笑神様は突然に…』『1周回って知らない話』などのレギュラー番組を輩出した。

現在もレギュラー放送されている『有吉ゼミ』『沸騰ワード10』『ウチのガヤがすみません!』『THE突破ファイル』を生み出した、まさに登竜門だ。

今回の企画は、「日常の“ちょっとした生活習慣の変化”や“人生を変える大きなライフスタイルの変化”の中で、人の生活、心、考え方、顔がどう変わるのかを追う」というもので、レギュラー化への期待値は高い。

なにせ出演者は、全世代人気のマツコ・デラックスと、業界評価トップクラスの平成ノブシコブシ・吉村崇。プライムか深夜かは内容次第だが、レギュラー化を見越して先物買いするつもりで見てみたい。

■木村隆志
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。毎月20~25本のコラムを寄稿するほか、解説者の立場で『週刊フジテレビ批評』などにメディア出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日の視聴は20時間(2番組同時を含む)を超え、全国放送の連ドラは全作を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』『話しかけなくていい!会話術』など。