テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第220回は、16日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『嗚呼!!みんなの動物園』(毎週土曜19:00~)をピックアップする。

同番組は前週、『I LOVE みんなのどうぶつ園』から『嗚呼!!みんなの動物園』に番組名が変わり、内容も大幅にリニューアルされたばかり。どこがどう変わり、どんな狙いがあるのか。当番組に限らず動物番組全体に変化をもたらすリニューアルになりそうなムードが漂っているだけに、早い段階からチェックしておきたい。

『嗚呼!!みんなの動物園』を放送する日本テレビ

『嗚呼!!みんなの動物園』を放送する日本テレビ

■序盤15分は動物好き向けのコーナー

まず、スタジオの相葉雅紀、麒麟・川島明、高畑淳子、生見愛瑠、動物調査員・篠原かをりが映し出され、ナレーターの有働由美子が「動物園・水族館に行くのがちょっと楽しくなる動物クイズ」をスタート。“動物+クイズ”という冒頭のキャッチーな構成に、「一度見てもらわなければ始まらない」という新番組のシビアさを感じさせられた。

出題に入るとナレーターがサバンナ・高橋茂雄に替わり、「カピバラは死にたくないから毎日○○○する」というクイズが読み上げられる。続いて約5分にわたるヒントVTRを流しながら、スタジオメンバーが早押し形式で解答していく。結局、正解は「歯を削るために毎日、石で歯磨きする」だったが、この間カピバラのかわらしい姿を映し続けていて、動物好きの視聴者を満足させられたのではないか。

続いて高畑の“ガチ恋”動物という日本スピッツの赤ちゃんがスタジオに登場。生後2カ月の真っ白な2匹と高畑、生見がふれ合う映像をたっぷり見せたあと、2問目の「“スピッツ”はどんな意味?」というクイズが出題された。“赤ちゃん”は動物番組のキラーコンテンツであり、正解の「ドイツ語で“とがった”」を紹介してクイズコーナーは終了。ここまで全体の4分の1にあたる15分が経過していた。

次に始まったのは、「動物に本気で恋してしまっている人」にフィーチャーしたメインコーナーの“ガチ恋さん”。まず、紹介者の「ガチ恋さんの孫たち」10人による「もう77歳になるのに毎日散歩に2時間行って、その後をケヅメリクガメのカメ吉が追いかけていきます」「初めて見た人は『カメ使いのおばあだ!』って言います。すごいから見てみてね~」という推薦コメントを流した。

それを受けて、沖縄県糸満市の山城正子さん(77歳)と、カメ吉(推定7歳・オス)が登場。甲羅の大きさは70cmというかなり大きいカメで、沖縄の道をゆっくり歩く姿は、これ以上ないほどのゆるいムードを醸し出している。

続いて、「変温動物で寒さに弱く、肺が大きいため冷たい空気を吸わないように朝は動かない」「獲ってきたばかりの新鮮な桑の葉とキャベツ、きゅうりなどを食べている」などの説明が入り、さらに甲羅の構造をイラストで紹介。NHKの動物番組を思わせるマジメな構成だな……と思っていたら、正子さんが沖縄名物のちんすこうを食べながら大相撲を見る姿がたっぷり映され、笑いを誘われる。

そう、この番組のメインは動物であって、動物ではない。事実上の主役はガチ恋さんであり、その構図は『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』(中京テレビ・日テレ系)のグルメと店主たちの関係性に似ている。つまり、「昨年スタートした新番組で唯一の成功」と言われる同番組のコンセプトを踏襲したのではないか。

■『夜ふかし』風の素人イジリに危うさ

しかし、コーナー終盤は一転してハートフルなモードに変わる。正子さんの生い立ちを振り返るVTRが流され、「5人兄弟の末っ子として生まれ、父は視覚障がいがあったため、学校にあまり行けなかった」「子どもや孫たちに同じ苦労はかけまいと、42歳で小料理屋を始め年中無休で働いた」など、カメ吉に出会うまでの人生が紹介された。

さらに、「カメ吉はかわいくてかわいくて家族の一員。子どもたちは喜ぶし、自分も喜ぶし、いつも家族の雰囲気がウキウキしているから『カメ吉のおかげだ』と思ったりするわけさ。あんたのおかげだよね」と頭をなでるシーンが映され、「正子おばあとカメ吉の愛のあふれた沖縄スローライフ、嗚呼!! 愛おしい」というナレーションでコーナー終了。「芸能人に頼らず一般人にスポットを当てる番組でも、視聴者を笑い泣きさせられる」ことを証明するようなエピソードだった。

2人目のガチ恋さんは、埼玉県・東武動物公園で「ほぼ毎日ジャガーの写真を撮っている」「鳴き真似をする」「レジ袋2枚が使用済みSDカードでパンパンになる」という木村洋子さん(69歳)。ジャガーのリンド(3歳・オス)にガチ恋しているのだが、番組はマスクの柄がチーターで、靴のメーカーがPUMAであることにツッコミを入れた。

制作サイドはそんなガチ恋さんを「ジャガー木村」とネーミング。さらに、飲みきったコーラのペットボトルを2本抱えながら「コーラはあんまり飲まない」と話す姿や、「リアルなぬいぐるみが好き。かけ離れたやつはあんまり好きじゃない」と言ったあとにリアルからかけ離れたぬいぐるみを映して笑いを誘った。

ただ、これらのシーンはゴールデンタイムの放送だけに、笑った人がいる反面、「素人をバカにしている」と感じる人も少なくなかったのではないか。日テレの『月曜から夜ふかし』を彷彿とさせる素人イジリの演出であり、「もし本人が許可していても、視聴者から敬遠されてしまう」というリスクを感じさせられた。

その点、『オモウマい店』はこういうイジリ方はせず、むしろスタッフをイジることで笑いを誘い、バランスを取っている。動物の取り扱いに関するリスク管理には細心の注意が見られただけに、もしかしたらこのあたりの姿勢が番組の成否を左右するのかもしれない。

また、木村さんの友人が当番組について、「相葉なんかが出てた。相葉とか出てたときは見てた」と語るコメントをフィーチャー。すかさずスタジオの相葉が「出てる。ずっと出てる」とツッコミを入れていたが、このMCイジリも『月曜から夜ふかし』の村上信五イジリと似ていた。