テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第118回は、17日に放送されたテレビ朝日系バラエティ特番『あざとくて何が悪いの?』をピックアップする。

昨年9月に放送されて反響を集めたトークバラエティの第2弾で、山里亮太、田中みな実、弘中綾香アナウンサーが“あざとい男女”について毒気たっぷりのトークを繰り広げる。今回は視聴者投稿をもとに作られた“あざとい女ドラマ”に松本まりか、柏木由紀が出演するほか、千葉雄大もトークに参戦するという。

前回の放送以降、山里亮太はMCを務める番組が相次いでスタートし、田中みな実の写真集はバカ売れ、弘中アナは「好きな女性アナウンサーランキング」で初の首位に輝くなど、個人のパワーアップがめざましい。より一層パワフルな番組になるのではないか。

  • (左から)山里亮太、田中みな実、弘中綾香アナウンサー

■4人のコメントが色分けされた理由

まず「最高峰のあざとさを誇るイケメンが番組に逆オファーで緊急参戦」という紹介で千葉雄大が登場。「あざといには、けっこう肯定的なんですけど、たまにあざといをなめていらっしゃる方とかもいて、ちょっと物申したいことはある」と宣戦布告した。山里、みな実、弘中の間に入るわけだから、これくらいの意気込みがなければやっていけないだろう。ともあれ、これで男女2人ずつのイーブンな目線が成立した。

続いて、「この番組では、20~40代の男女667人から良くも悪くも“あざとい”と思った・思われた男女の行動をアンケート調査。実例を凝縮した再現VTRをもとにより男女のあざとさを徹底的に語り合ってもらう」という番組内容を紹介。4人の手元には、いかにもあざとさを感じさせるファーの台に乗せた“あざといボタン”が置かれていた。

1つ目のテーマは「スナイパーな女」。松本まりかが食事会を渡り歩き、男性を吟味する“マオ(28歳) 職業・大手企業受付”を演じるという。VTRがはじまると、画面左右に4つのワイプが置かれ、左上の山里が青、左下の千葉が緑、右上のみな実が赤、右下の弘中がオレンジに色分けされ、画面下部に4人が発した色つきのコメントが表示されていく。以下に、表示されたコメントをすべて挙げていこう。

弘中「スナイパーの目してる!!」、弘中「目でわかりますよ」、山里「スタートアップ企業の人の髭の生え方」、みな実「グイグイいかないんじゃない?」、山里「渋い!! 清澄白河!!」、みな実「ジャケット肩掛けね」、弘中「何で右手を置かない!! フォーク持ってる!!」、山里「あのフォークがいいんじゃない」、弘中「いつでも暇アピール!!」、弘中「連れ出して欲しい」、山里「友達いないは安心だわ」、山里「スナイパー、まだ打ち込んでこないね」、みな実「いやいや打ち込んでますよ地味に」、山里「そういうこと言われると冷めちゃう!!」、みな実「なんか余裕がある感じがする」、みな実「男の人が好きなやつと合わせてる!!」、みな実「意外性をアピール!!」

千葉「想像させてるんじゃないの?」、みな実「さすが千葉ちゃん」、弘中「なんで!! あとの二人はどうでもいいわけ!?」、山里「これがスナイパーってことでしょ」、みな実「でも私もやることもある!!」、弘中「地味アピールですね」、山里・みな実「おしゃれサウナじゃない」、山里「清澄白河と押上!!」、弘中「そういうアピールだなあ」、千葉「これイヤだ!!『イヤだ』って言っちゃった」、山里「親近感わくじゃない」、弘中「これ自分の写真!!」、山里「正解!!」、みな実「ちょっと湯上りメイク」山里「それ次第ですよ 私だってもう騙されませんよ」、山里「あ! これ大事」、山里「FMか?」、山里「ちょうど良い!!」×2回、山里「ラジオでの相田の回し気づいてんだ!!」

みな実「あ~ いるな~」、みな実「周りの女子が付いていけない!!」、山里「周りの女子を引き離すんだ!!」、みな実「これは私もやります」、山里「オリンピックのクレー射撃見てるみたい」、みな実「(帽子)被らせて?」、山里「触った! ありがとう!!」、山里「そうなると もういうしかないよね?」、山里「耳触った! ありがとう」、みな実「男の人の方が帽子大きいから!!」、弘中「小顔アピール」、山里「出し方バラエティとして天才!!」、千葉・みな実・弘中「カワイイ!!」、弘中「(カワイイって)言わせてる!!」、みな実「わかるよ!!」、弘中「上手!!」

約6分間、食い気味にコメントが入り乱れる超ハイペース。逆算的に見たら、これほどの量があるからコメントを4色に分けて見やすくしていることが分かる。この番組は「千葉だけがついていけずコメントできない」「みな実はしゃべるためなら自爆も辞さない」などが象徴するように、弱肉強食のリアルな戦場だった。

■『グータン』『今くら』を上回るパワー

VTR中のコメントが早撃ちなら、VTR後のトークは大当たり狙いの大砲を連発。

まずは、エース格のみな実が「フォークが裏側になることって実はあり得なくて、こうだってやつをコクって(裏返)してますからね。絶対に!」「(ラジオとかの)ああいう話題って女子はついていけないから、男子が『いい子いい子』ってなって彼女が話題の中心になるわけですよ。で、女子は引き離されちゃう。でもそんなのは(男性は)気づかないじゃないですか。そこがあざとい」とぶっ放した。

それに負けじと撃ち返したのは千葉。「あれ(サウナ好きのアピール)はもう古いですよね。『あたしおっさんだから』でハードルを下げるのはダメ!!」とぶった切る。さらに、みな実が「自撮りは最新のアプリで撮ってた。だって反転してるもん」、弘中が「これ盛れるやつです。美肌アプリです」、千葉も「よく行くところだったら撮らない」と食らいつくなど撃ち合いが続いてようやくトークが終了した。

これほどのトークバトルがあったにもかかわらず、まだスタートから約15分が経過したのみ。そのスピード感と力強さは『グータンヌーボ×2』(カンテレ・フジ系)や『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)ら同系のトーク番組をはるかに上回るものがあった。4人のポテンシャルはもちろんのこと、キャスティングが足し算ではなく掛け算となったから、それらが最大限に引き出されたのではないか。

その後、「あざと賢くプレゼントをする女~職場編~」WEB広告会社で働くナオコ(29歳)とカナ(23歳)、「~田中みな実投稿~私が出会った年下“あざと男子”」ヒロ(25歳)、「あざとく想像させる女」化粧品メーカーに勤めるカナコ(26歳)、「~職場編~〇〇待ちの女」WEBデザイナーのナオ(25歳)、「あざとくアピールする男」ゆうと(23歳)の5エピソードが放送された。

すべて一定の質を保っていた反面、唯一気がかりだったのは、「どこかで見たかも」と感じさせる軽いエピソードが目立ったこと。出演者のトーク水準にVTRの出来が伴っていないように見えてしまったのだ。「男女比が2対4と偏りがある」という構成上の悩みが見えたことも含めて、制作陣にとっては今後の課題と言えるのではないか。

■「どの口が言うか!」とツッコミたくなる

弘中から「みな実さん、(あのあざとい仕草)やってましたよね?」と振られた、みな実が間髪入れず「やってた」と笑うなど、2人のコンビは間違いなくパワーアップしていた。なかでも驚かされたのは、トークを撃ち合うようなシビアな現場であるにもかかわらず、2人は常に半笑いで楽しげな顔だったこと。「最近よく一緒にご飯へ行く」というだけあってコンビネーションは冴え渡り、姉妹のような、師弟のような、あうんの呼吸を見せていた。

かつてはベッキーとYOU、最近なら指原莉乃とSHELLY、若手なら池田美憂と藤田ニコル。「あざとくなれない女があざとい女性を糾弾する」という対立図式が定番だったが、この2人は「あざとい女があざとい女を糾弾する」という別の形を見せている。実際、VTR振りで2人は何度もあざとい顔を見せているが、直後に糾弾をはじめて視聴者に「どの口がそれを言うか!」とツッコませる形で笑いを提供しているところが新しい。

言うまでもないが、やはり山里の存在感は絶大。怒ってコメントする千葉に「テンション梅沢富美男」、年下男に引っかかるみな実に「資産家ババアがホスト行くみたい」、VTR内の女性がノースリーブばかりなのを見て「あざとい女はみんな袖嫌いだね」とツッコミを入れるなど、2人を前面に出しつつ、ひと言で笑わせるテクニックを見せていた。

これほどタレントのパワーを引き出した番組が面白くないわけないだろう。最後に「視聴者の皆さんからの“あざとい男女”目撃談お待ちしております!!」というテロップが表示されたが、レギュラー化を望む人々は少なくないはずだ。3人は絶好調の超売れっ子ゆえに、週一のレギュラー化は難しいかもしれないが、季節に一度程度の放送があっていいかもしれない。

■次の“贔屓”は…早々の逆風にどう対処? 山里&宇賀の相性は? 『土曜はナニする!?』

宇賀なつみ(左)と山里亮太=カンテレ提供

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、25日に放送されるカンテレ・フジ系情報バラエティ番組『土曜はナニする!?』(毎週土曜8:30~)。

12年間にわたって放送された『にじいろジーン』のあとを受けて4日にスタートしてからまもなく1カ月。いきなり外出自粛の要請で、「ナニする」の幅が極端に狭くなる逆風に吹かれているが、どう対処しているのか。

MCを務める山里亮太と宇賀なつみの相性、リニューアルした『サタデープラス』(MBS・TBS系)など裏番組との比較も含め、掘り下げていきたい。

著者:木村隆志(きむら たかし)

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。