投資信託(以下、投信)を運用して利益が出た場合には、通常、20.315%の税金が発生します。しかし、「確定拠出年金(DC)」や「NISA(少額投資非課税制度)」といった制度を利用すれば、非課税で運用ができるのです。税金がかからなければ、それだけ利益が増えることになりお得ですよね。確定拠出年金やNISAとは、どのような仕組みなのでしょうか。

効率的に老後資金の準備ができる「確定拠出年金」

確定拠出年金とは、公的年金に上乗せできる私的年金の一つです。毎月一定の掛け金を支払って運用し、老後に受け取れる仕組みとなっています。確定拠出年金の最大の特徴は、加入者が自分で商品を選択し、自己責任で運用していく点。そのため、運用成績次第で、将来の受取額が変わります。

なお、確定拠出年金には個人型と企業型があり、そのうち個人型は2017年に加入対象者が拡大しました。その結果、現役世代のほぼ全ての人が加入できる制度となっています。また、個人型確定拠出年金には「iDeCo(イデコ)」という愛称が付けられています。毎月の掛け金は最低5,000円から始められ、1,000円単位で年1回の変更が可能です。

確定拠出年金のメリットは、税制優遇が受けられ、お得に運用できる点です。まず、毎月の掛け金は全額所得控除になります。そのため、所得税や住民税が減り、税金を取り戻すことができるのです。

さらに、積立期間中に発生する運用益も非課税になりますし、年金を受け取る際には、退職所得控除(一時金としてまとめて受け取る場合)や公的年金等控除(年金形式で受け取る場合)が利用でき、税負担を減らすことができます。

確定拠出年金で運用できる商品には、元本確保型商品である定期預金や一部の保険のほか、元本確保型以外の商品である投資信託、REIT(不動産投資信託)などがあります。どのような商品があるかは金融機関によって異なりますが、投資信託の割合が圧倒的に多くなっているところが一般的です。

3つあるNISAの種類

NISAとは、個人投資家向けの税制優遇制度です。NISA口座を開設し、そこで株式や投資信託を購入した場合、年間の購入代金が120万円までなら、投資元本にかかる利益(配当、分配金、売却益)が5年間非課税になるというものです。

<ジュニアNISA>

また、2016年からは、「ジュニアNISA」という制度も開始されました。ジュニアNISAとは、0~19歳の未成年者を対象とし、年間80万円分の非課税投資枠から得られた利益が、5年間非課税になります。ジュニアNISAは、主に、子どもの教育資金や就職資金を準備するためのもので、両親や祖父母など親権者等が代理で口座の運用管理を行います。

なお、いつでも払い出しが可能な一般のNISAに比べ、ジュニアNISAは原則として子どもが18歳になるまで払い出すことはできません。NISA、ジュニアNISAの対象商品はともに、上場株式やETF(上場投資信託)、投資信託等となっています。

<つみたてNISA>

さらに2018年には、「つみたてNISA」がスタート。つみたてNISAとは、一定要件を備えた投資信託等の購入代金が年間40万円であれば、その投資元本にかかる利益が最大20年間非課税になるという制度です。つみたてNISAは、長い時間をかけてコツコツ資産形成していくことが目的。

そのため、その対象商品は、長期分散投資に適した公募株式投資信託およびETFが対象となっています。なお、一般のNISAとつみたてNISAは併用することができず、どちらかを選択して利用することになります。

確定拠出年金とNISAをどう活用する?

確定拠出年金やNISAは、非課税というメリットを生かし、値動きが控えめで安定的に運用できる、投資信託を中心に投資していくことがおすすめです。では、確定拠出年金やNISAはどのように使い分ければ効率的にお金を増やしていけるのでしょうか。

まず、長い時間をかけて準備する必要のある老後資金のために、確定拠出年金の活用を考えてみましょう。若い世代の場合、「老後なんてまだまだ先」と思いがちですが、老後のお金は早くから備えたほうが後々の負担が抑えられ、精神的にも余裕が持てるようになります。

また、40~50代の資産形成では、老後資金は真っ先に念頭に置きたいものです。住宅ローンや教育資金がかさむ時期ですので、無理のない範囲で毎月の掛け金を拠出していきましょう。

一方、NISAはどうでしょうか。せっかく税金がかからず運用できるのですから、上手に活用したいですよね。たとえば、一般のNISAとジュニアNISAを家族(夫婦、子ども一人)で併用すれば、年間で合計320万円の非課税枠が利用できます。

NISAやジュニアNISAの口座で株式を持つと、一般の口座と変わらず株主優待も受け取れますので、投信のほか、株主優待を狙った株式の保有をしてもいいかもしれません。

また、つみたてNISAは、払い出しに制限がなく、住宅資金や教育資金の準備など、資産形成の目的を自由に決めやすくなっています。長い時間をかけて運用するものですので、若い世代が将来に向けてコツコツ積み立てるほか、iDeCoに加入できない60代の方が老後資金の備えとしてつみたてNISAを活用することも一つの手です。

確定拠出年金やNISAは、お得とわかっていても、仕組みが複雑そうで実際に利用するところまでは至らないという人が多いようです。しかし、早く始めれば、その分有利にお金を増やしていくことができます。これらの制度を上手に使い、非課税のメリットを充分に受けましょう。

筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。