元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きなNintendo Switchのソフトは「でていけ タックスヘイブンの島」です。

ぼくは全国に展開するとある団体とよく取引をします。

その団体は、ビジネスの最前線で活躍する社長さんの集まりです。取引をするときは、その地域の長や事務員さんと連絡を取りますが、その考え方は十人十色です。

インターネットで検索してたまたまぼくが表示され依頼をしてくれた人、この連載のファンの人、他の団体の人から噂を聞いた人など、そのきっかけと社長であるか使用人であるかによって、考え方が大きく異なります。

社長であれば、個人事業者のぼくとほとんど変わりません。相手を尊重し敬意を払って、取引を進めていきます。連絡をくださる社長とぼくの所得を比べると、『王様はロバ』とバンクシーくらいの差がありますが、決して態度には表しません。

相手を軽んじる態度が、ビジネスで良い結果をもたらさないと分かっているからだと思います。

使用人、いわゆる社員、事務員のような方から、団体を代表して連絡をもらうこともあります。社長と違って、誰かに雇われた給与所得者です。個人事業者の嫌がること好むことをほとんど知りません。いや、今回の連絡に関しては、業種や働き方に関係なく、よくないことであると分かるはずですが、なぜか、改めてもらえませんでした。

とある講演の依頼

とある団体の使用人が講演の依頼で連絡をくれました。初めに報酬の金額を聞かれたので伝え、了承を得て、内容や日程を詰め、そろそろスライドを作成しなければいけないな、そう考えていたある日、こんなメッセージが送られてきました。ひとつずつ解説したいと思います。

使用人「調べたところ過去のあなたのイベントは参加費2,000円×キャパ40名でした。今回の◯万円の講演料は高くないですか? 」

過去のイベントを調べ、その売上を計算して示されたのは初めてです。もちろん、「高い」と言われたのも初めて。ぼくが金額を提示したときに、「予算が足りないので、またの機会に」と言わずに、了承して何カ月も経ってから高いと言うのは、どういうつもりなんでしょうか。さらにこう続きます。

使用人「私が過去に依頼した方々は、皆さん有名な方ばかりで、それにもかかわらず、信じられないくらい安価でした。他の団体があなたに支払った金額を証明できますか? 」

今まで講演してくれた人は、あなたより有名なのに安かった。あなたは無名なのに高い。そう言われているような気がしました。そう思うのなら、金額を提示した時点で、取引を断念するべきです。

ぼくは、減額交渉かと考え、話を聞きました。もちろん、応じるつもりはありませんが、相手の考えや次の一手を知りたいという欲求に駆られたのです。

ぼく「申し訳ありません。それはできかねます。金額をご提示いただければ、検討しますがいかがでしょうか? 」

使用人「金額については既に合意済みですから交渉ではありませんのでお間違え無く」

どういうことなんでしょうか。何がしたいのか分かりません。そして、意図の分からない連絡に対し、態度を硬化させることなく再検討の意を示したのに「お間違え無く」です。これから取引する相手に「お間違え無く」なんて言うでしょうか。

原因を作ったのは、使用人の発言

友人や恋人が何か間違えたときだって「お間違え無く」なんて言いません。そもそも、ぼくの発言が間違いかどうかは、使用人にしか分からないし、その間違いの原因を作ったのは、使用人の発言です。

取引相手を軽視した、著しく不遜な態度であると感じました。倍の料金をもらっても会いたくありません。きっと、講演会場もぼろぼろだし、名刺も片手で渡してくるし、勝手に撮影するし、振込も遅いし、「代表のところに挨拶に来てください」などと言うでしょう。

ぼくは、丁重にお断りし、記事に書いて忘れることにしました。

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