取材中、なぜか何度も目が合う。正確には、カメラ越しに目が合うような感覚になる。

その相手は、5人組ダンスボーカルグループ・M!LKのリーダー吉田仁人だ。吉田は、TOKYO MXのドラマ『溺愛 ~ 実は、最強ヒーロー ~』(毎週金曜23:00~)で連続ドラマ初主演を務める。先日、同作の会見を取材した際、彼のある振る舞いが印象に残った。

  • M!LK吉田仁人

    M!LK吉田仁人

ファインダーをのぞいていると、ふいに目が合う――

目が合ったなんて勘違いだ! 仕事で参加しているのに何を言っているんだ! と、ファンの皆さんからお叱りの声が届きそうだが、あくまでも会見に参加した一記者の個人的な感想としてご容赦いただきたい。

通常、こうした会見では、登壇者が質問を投げかける司会者の方を向いて話すことが多い。もちろん、報道陣に視線を向けることもあるが、基本的には司会者とのやり取りを中心に進行していく。

しかし、彼は少し違った。

司会者からの質問に答えながら、しばしば正面に座る報道陣の方へ視線を向ける。しかも、その視線は記者でなく、こちらが構えるカメラに向けられているように感じた。ファインダーをのぞいていると、ふいに目が合う。そんな瞬間が何度もあった。もちろん、本人がどこまで意識していたのかはわからない。ただ、その姿を見ていると、その場にいる報道陣だけでなく、カメラの向こう側にいる人たちにも語りかけているように思えた。

この会見の様子を動画や写真で見る人、記事を通して吉田の言葉に触れる人。そして、彼の発言を楽しみに待っているファン……そんな画面の向こう側にいる人たちの存在まで、自然と意識しているのではないか、そんなことを考えた。さらに興味深かったのは、だからといって司会者とのコミュニケーションがおろそかになっているわけではないことだ。

質問や進行には、その都度きちんと相づちを打つ。相手の話を聞いていることが伝わってくるし、会話の流れを止めることもない。目の前の相手と丁寧にやり取りをしながら、同時に、その先にいる人たちにも意識を向ける。

文字にすると簡単なことのようで、「そんなの、どの有名人もやっているんじゃないの?」と思われるかもしれないが、観客がいない形式で行われると意外とそうではない。なかなかできることではないように思う。

M!LKは近年、「イイじゃん」のヒットなどをきっかけに、幅広い層から注目を集めている。もちろん、その人気を支えているのは楽曲やパフォーマンス、メンバーそれぞれの個性など、さまざまな要素だろう。ただ、今回の会見で吉田の姿を見ていると、ファンとの交流の機会においても、こうした気遣いがあるのだろうかと感じた。そんな何げないコミュニケーションの積み重ねも、ファンの心をつかむ理由の一つなのかもしれない。

では、そんな吉田のことを、実際に同じ現場で過ごしてきた共演者たちはどう見ているのだろうか。今回の会見には、吉田とともに桃月なしこ、池田彪馬も登壇。共演者の目に映る吉田の姿にも、興味を引かれた。

桃月は、初共演となった吉田について、最初はどのような人物なのかわからず、不安もあったと振り返る。しかし、実際に話しかけてみると、気さくに応じてくれたそうで、「コミュニケーションが取れる人だ」と安心したという。さらに、グループ活動などで多忙な吉田が、撮影現場では疲れを感じさせなかったことにも言及。「吉田さんこそ本当にすごく周りの方々を見ている方」と話し、スタッフへの声かけなどにも感心したという。

吉田と同じEBiDANに所属し、10年以上の付き合いがあるSUPER★DRAGONの池田彪馬も、今回の共演を通して新たな一面を発見したという。池田は、撮影現場で吉田に個人的な悩みを相談する機会があったことを明かし、「いざ現場で座長としての振る舞いもそうですし、僕自身に対する接し方もそうですけど、すごくお兄ちゃんとしての行動もできる人なんだなと」と、その姿を振り返った。さらに、多忙な中でも嫌な顔一つせずに真剣に話を聞いてくれたことについて、「純粋に人としていい人だと、この期間を通して改めて感じました」と語った。

初共演の桃月も、長年の付き合いがある池田も、共通して挙げたのは吉田の気配りや相手に向き合う姿勢。その言葉を聞いていると、カメラ越しに感じた親しみやすさにも、納得がいく。ところが、そんな吉田自身の自己分析は、少々意外なものだった。

作品のタイトルにちなみ、自分が何の「最強」だと思うかを聞かれると、吉田は「実は最強、初めまして」と回答。「初めましての乗り切り方が一番うまい」と自信をのぞかせ、「友好的な人間になれるんですよ(笑)」と説明した。ここまでは、会見で感じた印象とも一致する。しかし、続く言葉は予想外だった。

「で、二度目ましてでめちゃくちゃ緊張する(笑)」

吉田によると、初対面では「みんなが話しやすい人間であろう」と理想の自分を演じられるものの、2度目になると、それを続けることに疲れてしまうのだという。笑いながら自身の雑な一面にも触れ、「それを継続できないから、初めましてが一番印象いいんだと思う」と分析した。初対面の相手と打ち解けるのが得意な一方で、実は2度目に会うと緊張してしまう。そんな意外な一面を、あっけらかんと明かしてしまうところにも、吉田らしい魅力があるように思う。

考えてみれば、会見で感じたあの親しみやすさも、本人が語った「みんなが話しやすい人間であろう」という意識とどこか重なる。

もちろん、吉田がカメラに視線を向けていた理由を直接聞いたわけではない。それが意識的なものなのか、自然な振る舞いなのかもわからない。ただ、桃月や池田が語った気配りや優しさ、そして吉田自身が明かした初対面での心構えを聞くと、彼が人と向き合う際に、相手のことをよく考えているのは確かなように感じられた。

カメラ越しに何度も目が合ったように感じた理由。その答えを知ることはできなかったが、今回の会見を通して、吉田仁人という人の魅力に少し近づけた気がした。

最後に、ここまで長々と感想をつづってきたが、原稿を書き終えて写真をセレクトしていると吉田の目線がばっちりときた瞬間のカットがない……シャッターを押すのが遅いからだ。この日ほど自分の腕のなさを憂いたことはない。精進いたします。