8月、ショービジネス界も猛暑に負けず、アツく燃えていますっ! 夏休みが取れずに不機嫌なあなた、予定のないあなた、劇場という数時間のショートトリップを楽しんでみてはいかが? ちなみに、夏場の劇場はエアコンの影響で、座席によっては意外と寒かったりするもの。冷え性の人は、羽織るものをお忘れなく。

『RENT』 - ブロードウェイの感動がそのまま日本にやってくる!

『RENT』は、プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を20世紀後半のニューヨーク・イーストヴィレッジに置き換えたミュージカル。舞台は、1989年のニューヨーク。家賃(レント)すら払えない生活を送る若きアーティストたちが、犯罪、エイズ、ドラッグ、同性愛など、さまざまな問題に直面しながらも、懸命に"今"を生き抜く姿を描く。1996年にオフ・ブロードウェイと呼ばれる小劇場で開幕し、普段、劇場に足を運ばない若い世代を中心に大きな支持を得て、わずか2ヶ月でブロードウェイに進出。ピューリッツァー賞、トニー賞などを総なめにした伝説の作品だ。

2006年に日本で公開された映画版も話題となるなど、ミュージカルファンならずとも一度は見ておきたい作品だが、なんと今回は、初演のブロードウェイ、そして、映画版に出演したアダム・パスカルとアンソニー・ラップらが来日! 通常、来日公演はツアーのためのキャストで編成され、ブロードウェイのキャストとはまったく異なるケースがほとんどだが、今回の上演は、ブロードウェイの舞台がそのまま日本にやってくるようなもの。NYを熱狂させた作品の神髄をぜひ体感したい。

これまでにない豪華キャスト、オリジナル演出は必見!

『RENT』
日程 2009年8月7日(金)~8月30日(日)
会場 赤坂ACTシアター(東京・日比谷)
脚本・作曲・作詞 ジョナサン・ラーソン
演出 マイケル・グライフ
出演 アダム・パスカル、アンソニー・ラップほか
料金 S席12,600円、A席10,500円

『7Days Judgement 死神の精度』 - 演技派俳優・香川照之が、愛すべき死神役に挑む

人気小説家・伊坂幸太郎の『死神の精度』の舞台化。ミュージックをこよなく愛する死神を主人公とした同作は、これまで映画化(金城武主演)、ラジオドラマ化はされているが、舞台化は今回が初めてとなる。クールで、一風変わった死神に扮するのは、これまで数々の映画賞を受賞している演技巧者の香川照之。そのほか、演出家としても高い評価を得ているラサール石井、シンガーソングライターで、ミュージカル出演も多い中川晃教、映像、舞台問わず、幅広いフィールドで活躍する鈴木省吾と、「いったいどんな化学反応が起こるの?」とわくわくするようなメンバーが顔を揃えた。脚本・演出を担当するのは、劇団ウォーキング・スタッフの和田憲明。主演の香川が、和田の演出を切望したという。200人強のキャパシティーのシアタートラムという濃密な空間での、演劇の「異業種格闘技」に胸が高鳴る。

小劇場ならではの臨場感と空気感を存分に堪能して

『7Days Judgement 死神の精度』
日程 2009年8月21日(金)~8月31日(月)
会場 シアタートラム(東京・三軒茶屋)
原作 伊坂幸太郎
脚本・演出 和田憲明
出演 香川照之、中川晃教、鈴木省吾、ラサール石井
料金 6,300円

『狭き門より入れ』 - 気鋭の劇作家と個性派俳優たちのタッグに注目

「イキウメ」に所属する前川知大は、若手演出家コンクールで優秀賞を受賞するなど、このところ注目を浴びている劇作家・演出家のひとり。その彼の才能に早くから注目していたのが、俳優の佐々木蔵之介だ。佐々木が主宰するユニット「Team申」の第3回公演となる本作で、佐々木と前川は2度目のタッグを組む。混沌とした世界で、何を選択していくかを問うストーリーで、タイトルは聖書の一節から引用したのだとか。身近な日常を舞台にしながらも、そのすぐ近くに非日常が存在する前川独特の世界観が、どう表現されるのか。市川亀治郎、浅野和之、手塚とおる、有川マコトといった個性と実力を兼ね備えたキャスト、さらに、ドラマ『ROOKIES』で人気上昇中の中尾明慶と、興味深い顔合わせが実現した。

気鋭の劇作家の独特の世界観にどっぷり

『狭き門より入れ』
日程 2009年8月17日(月)~9月6日(月)
会場 PARCO劇場(東京・渋谷) ※地方公演あり
作・演出 前川知大
出演 佐々木蔵之介、市川亀治郎、中尾明慶、有川マコト、手塚とおる/浅野和之
料金 7,500円
長谷川あや
大学時代から舞台にはまり、小劇団のストレートプレイから大型ミュージカルまでジャンルを問わず観劇。卒業後は出版社に入社し、編集者として活躍。1996年に退社し、現在はフリーライターとして、All About演劇・コンサートや女性誌、情報誌などで読みものページを中心に執筆している

イラスト:gnk