今回の一杯は、淡路町に店を構える「めんや」。JR中央・山手線「神田」駅から中央通り沿いに秋葉原駅方向へ。靖国通り手前の路地を入ったところにある店で、東京メトロ丸ノ内線淡路町駅からも程近い。「茹でたてそば からだに優しいうどん」とでかでかと書かれた看板がある以外は地味で、多くの飲食店が並ぶオフィスの台所エリアでは若干埋没気味のようにも見える。

「かき揚げそば」(税込380円)

出口専用戸でスムーズな導線を確保

引き戸は2カ所。右側は出口専用で、入り口は左手になる。ランチタイムなどの混雑時にスムースな導線確保につながるのだろう。入り口を入ると左手に券売機が。店内は正面に厨房。中央に向かい合わせのカウンターテーブル(着席)と、右手側にもそれがひとつ。左手側のみ立ち食い用のカウンターで、2~3人立てばいっぱいの小さいスペースがある。

メニューのラインナップは、いか天や春菊天、山菜、たぬき、きつねなど正統派。ここは様子見も兼ねて、「かき揚げそば」(税込380円)を注文。厨房に食券を出し、セルフの水を飲みながらしばらく待つ。お昼前、相客はひとりのみだったが、看板の通り生そばをゆでるところから始めているようだ。2~3分後、呼ばれてお盆を取りに行く。

かき揚げのサクサク感を守る配置

至ってシンプルなかき揚げそば。大きすぎないかき揚げは、丼にもたれかかるようにして立っている。かき揚げのサクサクした食感を損なわないようにとの配慮だろう。一口すすると、さすが看板に偽りなし。

細めの麺はゆで置きでは味わえない風味があり、ツユは上品で深い甘みがある。かき揚げも野菜の甘さが先に口に広がる。なるほど、単品でも十分通用する味なので、初めにツユにべったり浸してしまうのは、いささかもったいないかもしれない。卓上には七味とならんでゆず一味あり。安くともていねいな仕事を感じられた。

「めんや」へは東京メトロ丸の内線「淡路町」駅から徒歩2分

この時間帯、店員が3人と客数を上回っていたが、元気のいい明るい接客。ランチ激戦区の神田界隈で生き残る、確かな理由を感じた。

※記事中の情報は2016年11月取材時のもの

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。