今回は、昨年11月にリリースされた「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」をもとに、インターンシップやワンデー仕事体験への参加が学生の志望度にどのような影響を与えたのか、また3月から本格的にスタートする就職活動を前に就活生がどんな不安を抱えているのかを探っていく。

志望度を上げる要因の第1位は「社員や人事の印象」

本シリーズ第1回のレポートで、2024年卒のインターンシップは過去最多の参加状況であることを報告した。インターンシップに対する学生の参加意欲が高まり、WEBと対面のハイブリッドで実施されることで参加のハードルが下がったことなどが背景にあると考えられる。

では、実際にインターンシップに参加することで企業に対する学生の志望度はどう変化したのか。

「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」によると、志望度が上がった理由の第1位は、「社員や人事の印象」(57.9%)で、第2位が「職場の環境や雰囲気」(54.6%)となっている。

学生は興味がある企業のインターンシップに参加し、社員に直に接し、そして職場の雰囲気を感じ取ることで、企業への志望度を高めているようだ。

調査結果からは、インターンシップの本来の目的である職業観の涵養にもつながっていることが見て取れる。第3位に「働くイメージがわいた」(51.4%)が入り、第4位の「仕事の内容」(49.9%)も50%近い数値となっていることから、自分の職業適性を確認できることが志望度の向上につながっていると考えられる。

  • ※「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」より

しかしながら、「社員や人事の印象」や「職場の環境や雰囲気」が逆に志望度を下げてしまうこともあるようで、志望度が下がった理由の第2位に「社員や人事の印象」(23.9%)、第3位に「職場の環境や雰囲気」(20.1%)が入っており、インターンシップ受け入れ側の企業にとっては不本意な結果となっている可能性があることがうかがわれる。

志望度が下がったその他の理由としては、「自分に合ってないと感じた」(39.4%)、「勤務地が希望に合わない・転勤がある」(18.7%)、「働くイメージがわかなかった」(18.1%)などが上位に入っているが、これらについては、学生と企業や仕事内容との適合性を確認できるインターンシップのプラス効果と見ることもできるだろう。

  • ※「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」より

採用選考の早期化や景気の先行き不安により、就職環境の悪化を懸念

2024年卒の就職活動が本格的にスタートするまで残り2ケ月を切ったが、不透明な社会情勢を反映してか、自分たちの就職活動を不安視する学生は少なくない。

同調査では、先輩の就職活動と比較して自分たちの就職活動が「(かなり+多少)厳しくなる」(38.5%)と考える学生の割合は、「(かなり+多少)楽になる」(10.4%)と考える学生の割合を大きく上回った。

  • ※「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」より

厳しくなると考える理由としては、「採用選考が早期化しているから」(54.4%)がトップで、「景気が悪い(悪くなる)と思うから」(40.7%)、「国際情勢が不安定だから」(34.3%)、「新型コロナウイルス感染症の流行の影響があるから」(31.8%)など、世界情勢や社会環境の不安定さを心配する理由が続いている。

また、オンライン化が進む就職活動を反映してか、「対面での面接が増えそうだから」(28.8%)と、対面型のコミュニケーションが不足しがちなコロナ禍ならではの理由も上位に入っている。

  • ※「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」より

「内々定がもらえるかどうか」に続き、多くの学生が対面式の面接を心配

また、就職活動やインターンシップ・ワンデー仕事体験に対して不安があるかどうかについても調査。11月に実施されているので、就職活動だけでなくインターンシップ・ワンデー仕事体験に対する不安を含めて聞いているが、就活本番を想定した回答が上位にあがっている。

第1位が「1つでも内々定をもらえるかどうか」(62.9%)で、第3位が「志望企業から内々定をもらえるかどうか」(53.8%)。そもそも内々定がもらえるかどうかは就活生の大きな心配事であるというのは、いつの時代も変わりはないが、経済、社会情勢の不安定さが例年以上に不安を増幅しているのかもしれない。

他には、「対面の面接でうまく話せるか」(55.6%)、「WEB面接でうまく話せるか」(49.9%)など、面接を不安視する声や、「学業との両立が難しい」(46.3%)、「スケジュールが過密になり大変になる」(42.3%)、「企業の採用活動が早い」(37.9%)など、就職活動そのものを負担に感じていることが想像される回答が多く寄せられている。

  • ※「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」より

今回は、「マイナビ 2024年卒 就職活動準備期間の心境調査」をもとに、インターンシップやワンデー仕事体験が学生の志望度に与えた影響と、就活生が抱える不安を確認した。

前回のレポートで、2024年卒は人材獲得競争の激化によって採用難を予測する企業が増えていることをお伝えしたが、学生側は経済環境や国際情勢の不安定化を背景に、さまざまな不安を抱えながら就職活動本番を迎えようとしているようだ。